【手帖】表現者の言葉を記録するシリーズ

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 第一線で活躍する作家や詩人らが自らの創作の歴史を振り返るインタビュー集『現代作家アーカイヴ』シリーズ(東京大学出版会)の刊行が始まった。

 小説家や翻訳家、文学研究者らの有志でつくる「飯田橋文学会」が始めたインタビュー企画の書籍化。ゲストの作家は事前に自らの代表作を3作選出。聞き手はそれを糸口に、当時の心境や創作の源泉を引き出す。実際のインタビュー動画も飯田橋文学会のサイト(http://iibungaku.com/)で公開されている。

 ゲストは第1巻が高橋源一郎、古井由吉、瀬戸内寂聴の3氏、第2巻は谷川俊太郎、横尾忠則、石牟礼道子、筒井康隆の各氏。幼少時に体験した空襲の記憶を紡ぎ続ける古井氏は「この国がどういう変遷をたどったかということに感慨もある、そして悔いもある。そういう歴史の跡を、日常のなかにいて書きたい」。一方で、奇想とユーモアあふれる作品で知られる筒井氏は「常識とか良識とかを疑問視し、それを否定する。それが文学の使命じゃないかと思う」と語る。

 貴重な文学的記録であるだけでなく、創作を志す人への手引、手に取る本に悩んでいる人に向けたブックガイドでもある。今月24日には島田雅彦、林京子、黒井千次の各氏が登場する第3巻が刊行予定。1~3巻は各2200円+税。

産経新聞
2018年2月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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