【話題の本】『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』筒井清忠著

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 ■既成政党批判の行き着いた先は

 一昨年以来、ポピュリズムという言葉が連日メディアで取り沙汰されている。引き合いに出されるのはもっぱら英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選などだが、ポピュリズムの定義を劇場型大衆動員政治とすれば、日本もすでに戦前期にその経験を持っている。なぜ戦前日本の政治は戦争と敗戦の破局へ自ら歩んでいったのか。歴史社会学者の著者が、そのメカニズムを解明するのが本書だ。

 政治勢力としての大衆が初めて出現したのが明治38年の日比谷焼き打ち事件。以降、外交が大衆の動向に左右されるようになった。そして大正末の普通選挙制と二大政党制の確立で、天皇シンボルの利用やスキャンダル暴露合戦などポピュリズム政治と行政の党派化が一つの極点に達し、既成政党批判から天皇親政的ポピュリズムという隘路(あいろ)に至る。その過程では、政治不信をあおったマスメディアの責も大きいとする。

 1月下旬に初版1万3000部でスタートし、現在2万部。先の大戦下の日本政治を薩長藩閥で説明するような荒唐無稽な昭和史解説が横行する中、実証史学の成果の上でシャープな社会科学的分析を示すこのような本が着実に売れているのは心強い。(中公新書・920円+税)

 磨井慎吾

産経新聞
2018年3月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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