稲垣吾郎さん(44)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に16日、第158回芥川賞を受賞した石井遊佳さんと若竹千佐子さん、直木賞を受賞した門井慶喜さんが出演した。芥川・直木賞作家が受賞作執筆の経緯を語った。
■『銀河鉄道の父』は「父と息子のラブストーリー」
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- 銀河鉄道の父
- 価格:1,760円(税込)
この日は芥川・直木賞受賞者が揃って登場する「ゴロウ・デラックス」恒例企画の後編。芥川賞を受賞した『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)の若竹千佐子さんと『百年泥』(新潮社)の石井遊佳さん、直木賞を受賞した『銀河鉄道の父』(講談社)の門井慶喜さんが前回に引き続き出演した。
門井さんは歴史小説家としてこれまでにも2度直木賞にノミネートされている。受賞作はこれまであまり知られてこなかった宮沢賢治の父親の実像を描いた一作だ。岩手の裕福な質屋に生まれ自由に世界に羽ばたこうとする賢治とどう向き合うか、子育てに悩む父親の姿が描かれている。門井さん自身も男の子3人の父親で、子供のために買った学習漫画が執筆のきっかけだったという。漫画のなかで父親は、賢治を抑圧する悪者として描かれていたのが気になったという。門井さんには父親は立派な人物として見え、膨大な資料にあたってみると「案の定面白い!」となり、編集者に相談し今作につながった、と着想のきっかけから構想の膨らまし方までも解説した。
「膨大な資料に基づく歴史小説」と捉えると構えてしまうが、稲垣さんは「ラブストーリーだよね、父と息子の。キュンキュンきましたね、同じ男としても」「映像が浮かびましたね」と感想を述べる。映像化された際にお父さん役としてどうですかと振られた稲垣さんは「僕が言いたいこと言ってくれましたね。売り込みの時間ですよ」と前のめりの姿勢をみせていた。
また門井さんは資料の使い方や小説のプロットに活かすための年表の作り方、執筆活動のための時間の使い方なども明かし、新人作家である若竹さんと石井さんはメモをとりながら大いに参考にしていた。
■『百年泥』は「ファンタジーとリアルの行ったり来たりが気持ちいい」
石井さんの作品『百年泥』はインドのIT企業に勤める日本語講師が主人公。インドで日本語教師を務める石井さんの境遇とも似ている。主人公はインドで100年に1度の大洪水に遭遇し、水がひいた泥の中からその場にあるはずのない思い出の品や行方不明になっていた人物が掘り出されるという奇妙な経験をする。石井さんの体験したインド生活を基にしたリアルな舞台のなかに、当然のように非日常的な出来事が挟み込まれる。
作中には羽をつけて飛翔して出勤するインド人が登場する。稲垣さんは、本当にそんな人がいるのかと信じそうになり、「一瞬ネットで調べようと思っちゃった。こういう書き方したらそう思っちゃう」と笑った。石井さんは「思うツボですね」と喜びながら、その表現技法に込めた意図を明かす。その書き方はノーベル文学賞作家のガルシア=マルケスらが使った手法で「マジックリアリズム」と呼ばれる。石井さんは「現実は荒唐無稽で、その現実を捉えるのに忠実な叙述の仕方だと思う。世界をありのままにけったいなままに描こうとするとこういうやり方が要請されてくる」とその技法を選択した理由を説明した。
稲垣さんは「すごく好きです。気持ちよく振り回していただき、翻弄していただき、ファンタジーとリアルの行ったり来たりが気持ちいい」と絶賛していた。
「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58から放送中。次回の放送は3月22日。ゲストはZeebraさん。課題図書は『ジブラの日本語ラップメソッド』(文響社)。公式サイトでは稲垣吾郎がラップに挑戦している予告動画を配信中。
http://www.tbs.co.jp/goro-dx/
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