第23回日本絵本賞が決定 『わくせいキャベジ動物図鑑』『ばけバケツ』など

文学賞・賞

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 第23回日本絵本賞が3月17日(土)に発表され、次の通りに決定した。

 ●日本絵本賞大賞:『わくせいキャベジ動物図鑑』tupera tupera[作・絵](アリス館)
 ●日本絵本賞:『ばけバケツ』軽部武宏[作](小峰書店)/『ドームがたり』アーサー・ビナード[作]スズキコージ[画](玉川大学出版部)
 ●日本絵本賞翻訳絵本賞:『シャクルトンの大漂流』ウィリアム・グリル[作]千葉茂樹[訳](岩波書店)
 ●日本絵本賞読者賞(山田養蜂場賞):『しんごうきピコリ』ザ・キャビンカンパニー[作・絵](あかね書房)。

 日本絵本賞大賞に選ばれた『わくせいキャベジ動物図鑑』は、亀山達矢さんと中川敦子さんによるユニット「tupera tupera」が、ダイコンイカ、ニンジン、トマトン、モロコシギツネなど、地球から831光年はなれた惑星に住む28の野菜動物たちを描いた絵本図鑑。

 tupera tuperaは、2002年より活動をスタート。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーションなど、様々な分野で幅広く活動するほか、NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当している。著書に『木がずらり』『かおノート』『ワニーニのぼうけん』『やさいさん』『しろくまのパンツ』『パンダ銭湯』『うんこしりとり』などがある。

 日本絵本賞に選ばれた『ばけバケツ』は、歩くバケツが転んでできた水たまりにヤマネコや石ころ、ゾウなどがやってくる物語。画家の軽部武宏さんが、つぎつぎと現れる珍客とのコミカルなやり取りを不気味な絵のタッチとリズムある文章で展開し、水たまりの正体を描き出す。同時受賞した『ドームがたり』は、米国ミシガン州生まれの詩人・アーサー・ビナードさんと絵本作家のスズキコージさんが、100年以上も広島を見てきた「原爆ドーム」を主人公に、原爆の悲惨さや戦争の歴史、生命の尊さを伝えた一冊。

 日本絵本賞翻訳絵本賞に選ばれた『シャクルトンの大漂流』は、20世紀初頭、南極で座礁したエンデュアランス号の乗組員たちを描いた実話に基づく物語。著者のグリル・ウィリアムさんはロンドンを拠点に活動しているイラストレーターで、シャクルトンの南極への旅の準備から帰還までの3年間を描いた本作でケイト・グリーナウェイ賞を史上最年少で受賞している。また、女優で作家・書評家の中江有里さんは本作を「物語も面白いけどイラストが素敵」と絶賛、クリスマスにお薦めの絵本としてNHK総合「ひるまえほっと」の「ブックレビュー」コーナーで紹介している。
https://www.bookbang.jp/article/523338

 日本絵本賞読者賞に選ばれた『しんごうきピコリ』は、阿部健太郎さんと吉岡紗希さんの二人組の童画作家・ザ・キャビンカンパニーが、ふしぎな信号機のピコリを主人公に、パトカーと車たちを振り回される絵本。さまざまな色に変わる信号機と不思議な交通ルールがユニークな作品となっている。

 日本絵本賞は、全国学校図書館協議会と毎日新聞社によって、1995年度より「絵本芸術の普及、絵本読書の振興、絵本出版の発展に寄与する」ことを目的に創設された賞。日本国内で出版された絵本を対象とし、優れた絵本作品に「日本絵本賞大賞」「日本絵本賞」「日本絵本賞翻訳絵本賞」のほか、投票で選ばれる「日本絵本賞読者賞【山田養蜂場賞】」が与えられる。

Book Bang編集部
2018年3月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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