『師匠、御乱心!』三遊亭円丈著
[レビュアー] 産経新聞社
昭和53年に起きた落語協会分裂騒動について、渦中にいた三遊亭円丈がその8年後、一部始終を実名で描いて刊行した超問題作。30年以上絶版だったが、後日談などを加えて文庫で再刊された。
〈「あいつは芸はセコだけど親孝行だから」なんて理由で真打(しんうち)になれた。結局真打にさせる理由なんて何でもよかった〉。そんな風にズバズバ明かされる内幕話が衝撃的だが、そのうちに一人称の語り口にノセられ、良くできた新作落語を聞いている気分に。円丈、円楽、小遊三の鼎談(ていだん)、再刊に尽力した夢枕獏さんの解説…マクラからサゲまで笑いっぱなし。(小学館文庫・630円+税)