『長く高い壁 The Great Wall』
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『長く高い壁 The Great Wall』浅田次郎著
[レビュアー] 産経新聞社
著者はこれまで、「終わらざる夏」で戦時下の動員制度を、「蒼穹の昴」で科挙制度を調べ上げ、物語を構成する重要な要素としてその事実の上にフィクションを構築してきた。本作でも、著者が調べ上げた従軍記者の実態を踏まえて物語が進行していく。
昭和13年秋。従軍作家として北京に派遣されていた流行探偵作家の小柳逸馬は突然の要請で検閲班長と万里の長城に向かう。待っていたのは守備隊の分隊10人が全員死亡という大事件だった。日本兵や中国人への尋問で浮かび上がる真相は-。新たな地平を切り開く著者初の長編ミステリーだ。(KADOKAWA・1600円+税)