生まれ育った東京・浅草を愛し、描き続けた小説家、劇作家、俳人の久保田万太郎(1889~1963年)。その久保田を〈名前すらも知らなかった〉イラストレーターが、久保田の自伝的文章「私の履歴書」などをもとに再編集、絵をつけた。
〈女関係にだらしなく〉〈時の権威が大好き〉など、自らは書かなかった部分も含めて〈人としての「ダメっぷり」が、だんだん面白く思えてきた〉という編者に導かれ、波瀾(はらん)万丈の生涯をたどる。簡潔な文章、コミカルなイラストに引き込まれ、読後は久保田の著作に手が伸びそうだ。(河出書房新社・2000円+税)
-
2018年4月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです