「ママより美味しい!」と孫に言われた、おばあちゃんの極上ハンバーグ

こんな本を読んできた

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 私がはじめて料理の世界に強く惹かれたのは、小学生の頃に、『日本の料理』(文化出版局)という本を母と見た時だったように思います。それは母が定期購読していた「ミセス」という雑誌に連載されていた日本の料理の写真をまとめたもの。料理と器、背景の庭や座敷の調度としつらえ、その繊細なあでやかさと奥深さに強く心を揺さぶられたことを覚えています。

 そして小学生の頃、数え切れないくらい読み返した本といえば、『メアリー・ポピンズ』。
 メアリー・ポピンズの不思議な立ち位置とその周辺で巻き起こるいろいろなおはなし。その中に散りばめられたオートミール、ジンジャークッキー、ヨークシャープディング……といった遠い異国の料理やお菓子。マイケルが嫌がるオートミールってどんな味なんだろう? 生姜のクッキー? などと興味を掻き立てられました。

 そんな私が、食べることが大好き! な夫と結婚したことがきっかけになり、料理教室をするようになって30年近くが経ちます。数年前、生徒さんから「極上のハンバーグが習いたい」と投げかけられました。今までなんとなく作っていたけれど、いちど「極上」というのを作ってみたいというのです。そんなことから「いまさら習わなくても作れる、いつもの料理をとびきりおいしくする」レシピ作りが始まったのです。

 それを教室で披露し始めましたら「孫が『ママより美味しかったよ。また作ってね』と囁いてくれた」「高校生の息子に4日続けて作りました」「婿がすごくおいしいとたくさん食べてくれて、それが何より嬉しかった」などと嬉しい報告が次々と届き始め、そしてなんと私自身の食卓でも、息子一家にハンバーグを作りましたら、「おいしい~! 習いたい~!」との言葉が!(実は今までいつも腕によりをかけて「おもてなし料理」を作ってきたつもりでしたが言われたことがありません。笑)

 特別な料理ではない、いつもの慣れ親しんだ料理がとびきりおいしくなることのパワーってすごい。と、とても驚きました。

 ハンバーグ、餃子、サバの味噌煮、シチュー、チャーハン……。ホントの定番料理をとびきりおいしく作るレシピを一冊にまとめてみたい。そんな思いで『えっ、ママより美味しい!? 定番料理をとびきり極上に。』という本を書きました。教室で作って見せる時に質問が多いところや、「えっそこがわかっていなかった?」と、こちらが驚いたところなどはQRコードで動画を見れるようにもしました。

 一度挑戦して頂けたら嬉しい限りです。

中野佐和子(なかの・さわこ)
料理研究家。日本女子大学住居学科卒業。建築士として設計の仕事に携わった後、結婚。来客の多い生活の中で培った料理が評判を呼び、1991年より料理教室を主催。現在は教室の他、マスメディアでの情報発信、食品企業の広告用レシピ開発、企業へのレシピ提供などに多忙な毎日を送っている。

Book Bang編集部
2018年5月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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