第65回産経児童出版文化賞受賞作8点が決定 大賞はたむらしげるさん『よるのおと』

文学賞・賞

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 第65回産経児童出版文化賞の受賞作8点が5日に発表され、大賞にたむらしげるさんの『よるのおと』(偕成社)が選ばれた。

 大賞に選ばれた『よるのおと』は、9歳だった著者が、松尾芭蕉の俳句「古池や 蛙飛び込む 水の音」を初めて知った際に、頭の中に浮かんだ鮮烈なビジョンを元にした絵本。少年が月夜に池のほとりを歩いて、おじいさんの家にたどりつくという数十秒の間に起きた小さなドラマを描く。たむらさんは大賞受賞について、「このような一見地味な作品を見いだしていただき、うれしい」とコメントを寄せた。

 著者のたむらしげるさんは、海外でも支持される日本を代表する絵本・映像作家。1949年東京生まれ。桑沢デザイン研究所修了後、印刷会社でパッケージ・デザイナーとして勤務。1976年に絵本『ありとすいか』を出版すると同時に退職し、イラストレーター・絵本作家として活動する。また、映像作品も手掛け、これまでにニュース番組「ブロードキャスター」オープニングやオリジナル映像「銀河の魚」(毎日映画コンクール大藤信郎賞)、「クジラの跳躍」(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞)などを制作している。

 産経児童出版文化賞は、学校図書法の施行にあわせて1954年に産経新聞社が創設した児童文学の賞の一つ。同社主催のもと、次世代を担う子供たちに優れた本を与える目的で制定された。前年の1月1日から12月31日までの1年間に日本国内で出版された、すべての児童書籍を対象に審査を行い、毎年5月5日の「こどもの日」に受賞作が発表される。大賞のほかにJR賞、美術賞などがあり第65回の受賞作は以下の通りとなった。

■大賞
『よるのおと』たむらしげる[著]偕成社
■JR賞
『さかなのたまご』内山りゅう[著]ポプラ社
■美術賞
『猫魔ヶ岳の妖怪』斎藤隆夫/八百板洋子[著]福音館書店
■産経新聞社賞
『こんぴら狗』今井恭子[著]くもん出版
■フジテレビ賞
『世界恐竜発見地図』ヒサクニヒコ[著]文岩崎書店
■ニッポン放送賞
『世界を救うパンの缶詰』菅聖子[著]ほるぷ出版
■翻訳作品賞
『うみべのまちで』ジョアン・シュウォーツ/シドニー・スミス[著]BL出版
『わたしがいどんだ戦い1939年』キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー[著]評論社

Book Bang編集部
2018年5月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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