第2回大宅賞が決定 大賞に加計学園問題の全貌を追った森功さんの『悪だくみ』 読者賞に清武英利さん『石つぶて』

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 第2回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞(日本文学振興会主催)が本日9日に発表され、森功さんの『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)が大賞に選ばれた。読者賞は、清武英利さん『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)となった。

 大賞に選ばれた『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』は、徹底した取材を元に政界・官界・業界団体・地方自治体などの複雑な構造を解きほぐし、加計学園問題の疑惑の全貌と、現在の日本の最高権力の核心に踏み込んだ一冊。

 森功さんは1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年1月よりフリーランスのノンフィクション作家として活動を開始する。「月刊現代」の連載「ヤメ検司法に巣喰う生態系の研究」(2008年)、「同和と銀行三菱東京UFJの闇」(2009年)の両記事で、2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。著書に福岡県の女性看護師4人による保険金連続殺人事件の全容を追った『黒い看護婦』、「財界のフィクサー」といわれた在日韓国人の実業家の実像を描いた『許永中 日本の闇を背負い続けた男』などがある。

 読者賞に選ばれた『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』は、2001年に発覚した外務省機密費流用事件の捜査の裏側に迫った一冊。刑事たちは内偵捜査の結果、外務省のノンキャリア職員が個人口座に億単位の預金を持ち、都心のマンションに愛人を住まわせ、12頭の競走馬の馬主であることが判明し、その後自供によって明らかになった機密費の金の使われ方に驚かされることになる。2017年に、WOWOWプライムで「石つぶて~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち」としてドラマ化している。

 清武英利さんは1950年宮崎県生まれ。1975年読売新聞社入社。社会部次長、中部本社社会部長、東京本社編集委員を歴任。2004年読売巨人軍球団代表。2011年11月に球団代表を退職した後は、ジャーナリストとして活動し、山一證券をテーマとした『しんがり 山一證券 最後の12人』で第36回講談社ノンフィクション賞を受賞している。

 同賞は、ジャーナリスト・大宅壮一氏の半世紀にわたるマスコミ活動を記念し、1970年に大宅壮一ノンフィクション賞として制定。2017年度から「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」と名称が改められ、読者によるネット投票を導入。開催年の前年に発表されたノンフィクション作品全般を対象とする。一般読者によるネット投票と、日本文学振興会が委嘱した有識者による投票を集計したうえで、選考顧問の後藤正治(ノンフィクション作家)立ち会いのもと授賞作を決める。受賞作品は「文藝春秋」7月号で発表。

 昨年は、「宅急便」の生みの親であり、日本を代表する名経営者の一人であるヤマト運輸元社長・小倉昌男の人物像に迫った森健さんの『小倉昌男 祈りと経営』が受賞。過去には沢木耕太郎さんの『テロルの決算』、猪瀬直樹さんの『ミカドの肖像』、櫻井よしこさん『エイズ犯罪血友病患者の悲劇』、佐野眞一さんの『旅する巨人』、米原万里さんの『嘘つきア-ニャの真っ赤な真実』、近年では増田俊也さん『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』などが大賞に輝いている。

 第2回の候補作品は以下のとおり。

『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』上間陽子[著]太田出版
『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』清武英利[著]講談社
『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』ブレイディみかこ[著]みすず書房
『戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇』堀川惠子[著]講談社
『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』森功[著]文藝春秋

Book Bang編集部
2018年5月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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