『廃園日和』行成薫著
[レビュアー] 産経新聞社
開園から30年で廃園が決まり、最後の営業日となった遊園地「星が丘ハイランド」に集う人々の人生模様を描いた連作短編集。
中1のときの「ブス」発言で疎遠となっていた2人を含む中2男女4人のダブルデートグループ、離婚した元妻が親権を持つ息子と1カ月ぶりに会う父親、開園日以来の訪問となった高齢夫婦…。これらの人名を冠した短編6編と交互に、「さよなら遊園地」と題した短編6編で遊園地で働く人々の最後の一日が進行していく。
読み進むにつれ登場人物は少しずつ交差。ラストで閉園日夜のそれぞれの思いが描かれ、読み応え十分だ。(講談社・1600円+税)