「からあげの写真」で子どもの能力が上がる!? “頭のいい子”になる簡単トレーニング

イベントレポート

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高取しづか氏
NPO法人JAMネットワーク、子どものコミュニケーション能力育成教室「ことばキャンプ」を主宰する高取しづか氏

 5月19日(土)、新宿で高取しづか氏による『「ことば力」のある子は必ず伸びる! 自分で考えて上手く伝えられる子の育て方』(青春出版社)出版記念セミナーが開催された。会場には子育て中の母親を中心に、子どもの教育に関心を寄せる親・祖父母たちが集まった。

 高取氏はNPO法人JAMネットワーク、子どものコミュニケーション能力育成教室「ことばキャンプ」を主宰。また、神奈川県の子育て支援の委員をつとめるなど、子どもの教育に関する活動を精力的に行っている。

単語を覚えても語彙力にはつながらない

 セミナーでは、本の内容をかみ砕いて解説しながら、参加者が実際のワークを体験した。高取氏は、相手に自分の意見や気持ちを伝えられる能力を「ことば力」と表現。ことば力を伸ばすことで、全体的な学力も伸びていくと説明した。

「算数や理科だけを勉強しても、応用問題は文が理解できないと解けないので、成績は頭打ちになるんです。ことば力をつけると、読解力が上がるので、算数や理科の成績も上がるんです。ことば力を引き出すには、まず語彙力を身に着けることです」

 高取氏が解説した、家庭でもできる、子どもに語彙力をつける具体的な方法が、「ことばあそび」。

「語彙力とは単語をどれだけ知っているかではありません。一つのことばを、どれだけ他の表現ができるか、ということです」と語彙力をつけるワークとして、高取氏が取り出したのが、からあげの写真。

「では、みなさん、『おいしい』や『おいしそう』を別のことばで表現してください」と題を出された参加者は「よだれが出てくる」「ほっぺが落ちそう」「見てるだけでおなかがすく」など次々と挙げた。その表現を高取氏は「わかりやすい」「面白い」「素晴らしい表現」と評価。

「これをご家庭でお子さんとやると、楽しみながら語彙力、表現力が身についていくんですね。その際、お子さんが出した表現をほめてあげることで、自信にもつながります」

決断力とプレゼン力がつく口グセ

 次に高取氏が出したのが、リンゴとミカンの写真。

「ではみなさん、リンゴとミカン、どっちかを選んで下さい。『どっちでもいい』はダメで、必ずどちらかを選ぶ。そしてなぜ選んだかを説明する。これだけで決断力と論理力、プレゼン力が上がります」

 実際のワーク体験として、高取氏から参加者へ「国内の温泉旅行と海外旅行、どちらに行きたいですか?」と題を出されると、会場からは「国内の温泉は行ったばかりだから海外へ行きたい」「海外では疲れるので近場の温泉で疲れを癒したい」……など様々な意見が出た。

「このように『自分が何をしたいのか』を考えることは自己認識や自己把握に。『なぜそれを選んだのか』を『相手に分かりやすく伝える』ことは論理力や説得力、表現力などにつながります」

 結論をまず出して、その理由を述べ、根拠で固めるというプロセスが、プレゼン力を身に着けることになると高取氏は説明した。

「そこで、ぜひお子さんに口グセにしてもらいたいのが、『どうしてかっていうと』という言葉です。まず『自分は○○がいい。どうしてかっていうと……』というふうに話すクセをつける。これが、結論、理由、根拠という思考の流れの訓練になるからです」

 この訓練は、大人が実践してもプレゼン力を上げられると高取氏は語った。

『「ことば力」のある子は必ず伸びる! 自分で考えて上手く伝えられる子の育て方』出版記念セミナーにて
『「ことば力」のある子は必ず伸びる!』出版記念セミナーにて

「ことば力」で判断力・決断力がつく

「このワークが重要なのは、『選択することに慣れる』ことができるからなんですね。どの服を着るか、どこへ行くか、何を食べるかという小さい選択。どの学校へ行くか、どの職を選ぶか、誰と結婚するかといった大きな選択。人生はそうした大小の選択の連続なんです。なんとなく流されるのではなく、主体的に、自信と根拠をもって決断・選択することは人生で大切だと私は思います。だから『ことば力』は親からお子さんにプレゼントできる、大きな武器なんです」と、子どものコミュニケーション能力向上に対する、熱い思いを語った。

 セミナーでは他にも、宿題や片付けなどを嫌がらずにさせる言い方や、物おじせず自分の意見を言えるようになる「度胸力」をつけるワーク、自分も相手も尊重する「聞く力」の身につけ方など、子どもの「ことば力」を上げる具体的な方法を解説し、会場は大いに盛り上がった。

 参加した小学高学年と中学生の子どもを持つ40代の女性は「特に下の子が難しい子で、コミュニケーションで少し悩みがあったが、高取先生の話はすぐに試せるような具体的なことが多く、とても勉強になった」と話した。

 なお、高取氏の新刊『「ことば力」のある子は必ず伸びる!』は、「度胸力」「語彙力」「論理力」「説得力」「応答力」「プレゼン力」を育てる具体的なトレーニングを紹介。親子で楽しみながら実践できる内容となっている。

高取しづか
NPO法人JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」教室主宰。消費者問題・子育て雑誌の記者として活躍後、1998年に渡米。アメリカで出会った仲間や日本の友人とJAMネットワークを立ち上げる。「子どもの自立トレーニング」をテーマに新聞・雑誌・本の執筆や、各地で講演活動を行っているほか、神奈川県の子育て支援の委員をつとめ、子育てや教育の現場で支援にあたっている。また、東京都と神奈川県の児童養護施設で社会貢献活動を行っている。著書に『子どもが本当に待っているお母さんのほめ言葉』(PHP研究所)、『実用絵本 ことばキャンプ』(合同出版)など多数。

青春出版社
2018年5月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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