人口減少日本で「あなた」に起きることに注目 個人が危機感を持たなければならない時代に

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 6月5日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、新書第1位は『極上の孤独』が獲得した。
 第2位は『未来の年表(2)人口減少日本であなたに起きること』。第3位は『人間にとって病いとは何か』となった。

 2位の『未来の年表(2)』は2017年ベストセラーとなった『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の続編。『未来の年表』は2月に発表された、2017年に刊行された新書のなかから「最高の一冊」を選ぶ、新書大賞2018の2位にも輝いている。今作では、少子高齢化が進んでいくと「日本」で起きることではなく、「あなた」の身の回りで起きることを具体的にカタログのように示した一冊となっている。

 これは少子高齢化の進む社会に政府が何をできるのか、ではなく、自分の身に何が降りかかるのか知りたいという読者の要望に応えたものだという。書籍の冒頭にはモデルとなる一家に降りかかる災難や困難が描かれ、80歳の老人から中年、10代の学生まで、少子高齢化によって起こる出来事とは無関係ではいられないということが示される。

「亡くなる人が増えると、スズメバチに襲われる」「高級タワマンが、『天空の老人ホーム』に変わる」「オフィスが高年齢化し、若手の労働意欲が下がる」「ネットで買った商品が一向に届かない」「食卓から野菜が消える」「テレビが高齢者向けの医療・健康番組ばかりになる」等々。具体的かつ身近に感じられる内容ばかりだ。

 ただし著者の河合雅司さんは脅すだけではなく、具体的に今から個人でできる対策もしっかりと述べており、そこには希望が感じられる。政府のように楽観的データをかき集めて“不都合な真実”を否定するのではなく、現実を見据えしっかりとした対策を採っていくのは我々個人の「自己責任」に任されているのかもしれない。

■新書 ノンフィクションランキング

1位『極上の孤独』下重暁子[著](幻冬舎)

現代では「孤独=悪」だというイメージが強く、たとえば孤独死は「憐れだ」「ああはなりたくない」と一方的に忌み嫌われる。しかし、それは少しおかしくないか。そもそも孤独でいるのは、まわりに自分を合わせるくらいなら一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで、成熟した人間だけが到達できる境地でもある。「集団の中でほんとうの自分でいることは難しい」「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」等々、一人をこよなく愛する著者が、孤独の効用を語り尽くす。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『未来の年表(2)人口減少日本であなたに起きること』河合雅司[著](講談社)

本書は、『未来の年表』の続編である。(略)今回は、少子高齢化や人口減少が人々の暮らしにどのような形で降りかかってくるかを、あなたの生活に即しながら明らかにする。言うなれば、これからあなたに起きることを、お中元やお歳暮のギフトカタログのように一覧してみようというのだ。(略)少子高齢化や人口減少で起きることを、家庭、職場、地域社会といったトピックスに分けてカタログ化すれば、さまざまなシーンを「あなた自身の問題」として具体的に置き換えることができる。そしてそれは、10年後、20年後の日本でうまく立ち回っていくための指針となる。(講談社ウェブサイトより抜粋)

3位『人間にとって病いとは何か』曽野綾子[著](幻冬舎)

健康を願わない人はいないだろう。しかし、病気知らずの長寿が必ずしもいいとは限らない。なぜなら、人間は治らない病いを抱えることで自分の限界を知って謙虚になり、命をかけて成熟に向かうことができるからだ。「健康なだけの肉体なんて始末が悪い」「人間の心身は絶えず裏切りを繰り返す」「神経症的な異変は誰にでも起きる」「弱点のない人間はいない」「最期まで人間を失わないでいられるか」等々、病気に人生を振り回されず、満ち足りた一生を送るためのヒントが満載。(幻冬舎ウェブサイトより)

4位『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕[著](中央公論新社)

5位『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』磯田道史[著](中央公論新社)

6位『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』菅野仁[著](筑摩書房)

7位『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』河合雅司[著](講談社)

8位『素顔の西郷隆盛』磯田道史[著](新潮社)

9位『自分のことだけ考える。 無駄なものにふりまわされないメンタル術』堀江貴文[著](ポプラ社)

10位『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』奥田昌子[著](幻冬舎)

■新書 ノベルスランキング

1位『ONE PIECE novel A スペード海賊団結成篇(1)』尾田栄一郎[原作]ひなたしょう[著](集英社)

2位『ONE PIECE novel A 新世界篇(2)』浜崎達也[小説]尾田栄一郎[原作](集英社)

3位『三毛猫ホームズの復活祭』赤川次郎[著](光文社)

4位『十津川警部 ストーブ列車殺人事件』西村京太郎[著](双葉社)

5位『NARUTO-ナルト- サスケ新伝 師弟の星』江坂純[小説]岸本斉史[原作](集英社)

6位『ψの悲劇 The Tragedy of ψ』森博嗣[著](講談社)

7位『NARUTO-ナルト- ナルト新伝 親子の日』岸本斉史[原作]宮本深礼[著](集英社)

8位『約束のネバーランド ノーマンからの手紙』七緒[小説]白井カイウ[原作]出水ぽすか[作画](集英社)

9位『僕のヒーローアカデミア(1) 雄英白書』堀越耕平[原作]誉司アンリ[小説](集英社)

10位『二人の王子は二度めぐり逢う』夕映月子[著](幻冬舎コミックス発行/幻冬舎発売)

〈新書 ノンフィクション / 新書 ノベルス ランキング 6月5日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2018年6月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク