「ろくな親孝行ができなかったと後悔」 爆笑問題・太田光が父を描いた一冊を絶賛

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 2018年6月5日に放送された、TBSラジオ深夜の人気番組「JUNK 爆笑問題カーボーイ」(毎週火曜日25:00~27:00)のオープニング・トークで、同番組パーソナリティの爆笑問題・太田光氏が、「今回の『生きるとか死ぬとか父親とか』って素晴らしかった」と、同じくTBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月~金11:00~13:00)でパーソナリティを務める、ジェーン・スーさんの新刊を絶賛した。
 同作品は、20年前、24歳の時に母を亡くしたジェーン・スーさんが、父の人生を描いたもの。一時は絶縁状態だった現在80歳の父と45歳になる娘が、もう一度、家族としてやり直す――その過程が綴られている。
 太田氏いわく、「本当にね、お涙頂戴とか、そういうのじゃまったくなく、線の太い、筋の一本通った文章で、見事な文章」。自身もひとりっ子だという太田氏は、「ろくな親孝行ができなかったって、今でも後悔している」と語った。
 さらに注目すべきは、太田氏の「ぜひこれ、みんなにも。向田(邦子)さんとかのエッセイを読んでた以来の『この書き手、おそらく小説でもそのうち、凄いのを書くんじゃないか』って、そういうのを思ったりとかして」という発言である。

 太田氏が、昭和56年に不慮の飛行機事故で亡くなった脚本家・エッセイストの故・向田邦子さんの大ファンであることは広く知られている。2011年には、自ら向田邦子さんのエッセイや小説、シナリオをセレクトした『向田邦子の陽射し』(文藝春秋)も刊行しているほどだ。
 その中で「太田光が選ぶ『読む向田邦子』ベスト10」のひとつとして挙げているのが、「ごはん」というエッセイ。同作は、向田邦子さんの第1エッセイ集にして代表作となった『父の詫び状』(文藝春秋)に収録されている。『父の詫び状』は、昭和4年生まれの向田邦子さんが戦前の風景を鮮やかに切り取り描いたエッセイ集で、表題作の「父の詫び状」はつとに有名である。
 ジェーン・スーさんの新刊『生きるとか死ぬとか父親とか』を、向田邦子さんの名前を引き合いに出して称賛した太田氏の念頭には、おそらくこの『父の詫び状』があったのだろう。

 自身の父を描いた作品ということ以外にも、この2つの作品には共通点がある。
 先述した向田邦子さんの「ごはん」と、ジェーン・スーさんの新刊に収録されている「七月の焼茄子」は、ともに戦争体験(前者は向田邦子さん自身、後者はジェーン・スーさんの父[昭和13年生まれ]の体験として)を描いている。それぞれ目黒と沼津で空襲から逃げ惑う人々が描写されているのだが、場所と時間が違えど、そこには全く同じシーンが切り取られているのだ。
 両作品のシンクロニシティにも驚くが、ジェーン・スーさんの新刊に“向田邦子の影”を見た、太田氏の慧眼には、さらに驚かされる。

Book Bang編集部
2018年6月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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