第159回芥川賞・直木賞の候補作が発表 松尾スズキや湊かなえ、島本理生など

文学賞・賞

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 本日18日(月)に第159回芥川龍之介賞と直木三十五賞の候補11作が発表された。

 芥川賞は、劇団「大人計画」を主宰し、俳優・劇作家のほか映画監督としても活躍する松尾スズキさんが8年ぶり3度目の候補となった。これまでに『クワイエットルームにようこそ』『老人賭博』が候補となっている。また、デビュー以来毎年候補となっている高橋弘希さんが4度目、今年5月に第31回三島由紀夫賞を受賞した古谷田奈月さん、第53回文藝賞を受賞してデビューした町屋良平さん、第61回群像新人文学賞でデビューした北条裕子さんが初の候補となった。

第159回芥川龍之介賞
第159回芥川龍之介賞

 直木賞は、2009年に『告白』で第6回本屋大賞を受賞し、イヤミスというジャンルを世に広めた湊かなえさんが3度目の候補となった。これまでに日本推理作家協会賞や山本周五郎賞などを受賞し、多くの作品が映像化されている人気作家だ。また、デビュー作が文学賞5冠を獲得して注目を集めた木下昌輝さんと過去に芥川賞候補に4度選出された島本理生さんが2度目の候補となり、《オーシャンクロニクル》シリーズで知られるSF作家・上田早夕里さん、今年3月にドラマ化された「ミッドナイト・ジャーナル」の著者・本城雅人さん、女性の性や出産、不妊などをテーマに作品を書き続けてきた窪美澄さんが初の候補となった。

159回直木三十五賞
159回直木三十五賞

 両賞は2017年12月から5月までに発表された作品を対象にしており、候補作は以下の作品が選出された。

■第159回芥川龍之介賞(出版社)
「風下の朱」小谷田奈月(早稲田文学初夏号)
「送り火」高橋弘希(文學界5月号)
「美しい顔」北条裕子(群像6月号)
「しき」町屋良平(文藝夏号)
「もう『はい』としか言えない」松尾スズキ(文學界3月号)

■第159回直木三十五賞(出版社)
『未来』湊かなえ(双葉社)
『じっと手を見る』窪美澄(幻冬舎)
『破滅の王』上田早夕里(双葉社)
『傍流の記者』本城雅人(新潮社)
『宇喜多の楽土』木下昌輝(文藝春秋)
『ファーストラヴ』島本理生(文藝春秋)

 選考会は7月18日に東京・築地の料亭「新喜楽」で行われ、同日中に受賞作の発表、受賞者の記者会見が予定されている。芥川賞の選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、高樹のぶ子さん、堀江敏幸さん、宮本輝さん、村上龍さん、山田詠美さん、吉田修一さんの10名、直木賞の選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、東野圭吾さん、宮城谷昌光さん、宮部みゆきさんの9名が務める。

 芥川賞・直木賞はどちらも昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品が対象。主に新人作家に与えられる。直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短篇および長編の大衆文学作品を対象に優秀作を選定。主に新進・中堅作家が対象。

 前回の芥川賞は、南インド・チェンナイで起きた洪水の際の体験を元にした石井遊佳さんの小説『百年泥』(新潮社)と、夫に先立たれた主人公の桃子の内面を全編岩手弁で書かれた若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)の2作が受賞。直木賞は、宮沢賢治の生涯を父・政次郎の視点から描いた門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』(講談社)が受賞している。

Book Bang編集部
2018年6月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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