第49回星雲賞が決定 宮内悠介さん『あとは野となれ大和撫子』などが受賞
文学賞・賞
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- あとは野となれ大和撫子
- 価格:1,760円(税込)
日本SFファングループ連合会議が、優れたSF作品を投票で選ぶ「第49回星雲賞」の受賞作を発表した。
星雲賞は、1970年に創設された日本で最も古いSF賞。前年に発表もしくは完結したSF作品およびSF活動を対象に、日本SF大会参加者の投票によって選ばれる。「日本長編部門」「日本短編部門」「海外長編部門」「海外短編部門」「メディア部門」「コミック部門」「アート部門」「ノンフィクション部門」及び「自由部門」の9つの部門が設けられている。
日本長編部門に選ばれたのは、宮内悠介さんの『あとは野となれ大和撫子』(KADOKAWA)。中央アジアの架空の国を舞台に、瓦解した国家を救うべく立ち上がる少女たちの奮闘を描いた物語。2017年に第157回直木三十五賞の候補作に選ばれている。
著者の宮内さんは、KADOKAWA発行の読書情報誌「本の旅人」(2017年5月号)にて、「構造としては『廃れた商店街をイベントで甦らせよう』モノを極端に大きくして国家バージョンにしたようなものです(笑)。映画『ブルース・ブラザース』のように馬鹿馬鹿しくも面白いものができればいいと思っていました」と同作について語っているほか、執筆の意外なきっかけを明かしている。( https://www.bookbang.jp/review/article/532754 )
また、批評家の杉田俊介さんは、《オタク的なイマジネーションの享楽によって、本作は国際政治の渦中へと「日本人」の読者たちを一挙に引きずり込んでいく。その力技には、現実を都合よく消費しかねない危うさがある。しかしまさにその危険な臨界領域からあふれる享楽ゆえに、本作はじつに宮内らしい政治的娯楽作品になっている》(東京新聞・書評)と評している。( https://www.bookbang.jp/review/article/534881 )
宮内さんは、1979年東京生まれ。2012年に囲碁、チェッカー、麻雀、将棋、古代チェスを題材とした連作短編集『盤上の夜』で、第33回日本SF大賞を受賞。2013年に『ヨハネスブルグの天使たち』が第34回日本SF大賞特別賞を、2017年に『彼女がエスパーだったころ』が第38回吉川英治文学新人賞を、同年『カブールの園』が第30回三島由紀夫賞を受賞している。著書に『アメリカ最後の実験』『ディレイ・エフェクト』などがある。
そのほか、海外長編部門にシルヴァン・ヌーヴェルさんの『巨神計画』、メディア部門にアニメ「けものフレンズ」、コミック部門に『それでも町は廻っている』が選ばれた。
第49回星雲賞の受賞作は以下の通り。
日本長編部門:『あとは野となれ大和撫子』宮内悠介[著]KADOKAWA
日本短編部門:『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』柴田勝家[著]早川書房
海外長編部門:『巨神計画』シルヴァン・ヌーヴェル[著]東京創元社
海外短編部門:『折りたたみ北京』郝景芳[著]早川書房
メディア部門:「けものフレンズ」(監督・たつき)
コミック部門:『それでも町は廻っている』石黒正数[著]少年画報社
アート部門:永野のりこ
ノンフィクション部門:『アリエナクナイ科学ノ教科書』くられ[著]薬理凶室[協力]
自由部門:「『超人ロック』生誕50周年トリビュート企画」
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