第159回直木賞受賞・島本理生『ファーストラヴ』 朝井リョウは「あまりに鮮烈」

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 7月24日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『下町ロケット ゴースト』が獲得した。
 第2位は『むすびつき』。第3位は『万引き家族』となった。

 4位以下で注目は5位にランクインした『ファーストラヴ』。18日に発表された第159回直木三十五賞を受賞した作品。作者は島本理生さん。島本さんは2011年の『アンダスタンド・メイビー』(中央公論新社)以来2回目のノミネートで受賞となった。物語は父親を殺した女子大生の動機を探る臨床心理士の視点で描かれる。周囲の人々や少女の複雑な心の内側を調査するうちに彼女の過去に潜んだある出来事に直面することとなる。

 作家の朝井リョウさんは《著者の小説を読むと、人の心は複雑な立体物なのだと痛感させられる。著者の文章は常に、心の裏側にまで届くよう、かすかな襞(ひだ)にも分け入れるよう、その先端が細く尖(とが)っていると感じる。特に今作はそんな緻密(ちみつ)な表現と、複数の主題(環菜の事件、由紀の過去)の同時進行によるリーダビリティが両立している印象を受けた。特に、楽団の如(ごと)く様々な感情を鳴らす心たちを率いたのち、指揮者よろしくきゅっと指を畳むかのような最後の一行。あまりに鮮烈だ。》と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/554699

1位『下町ロケット ゴースト』池井戸潤[著](小学館)

大人気シリーズ、待望のシリーズ最新刊! 宇宙(そら)から大地へ。いま、佃製作所の新たな戦いの幕が上がる! 2015年に放映されたドラマ「下町ロケット」(TBS日曜劇場)の大ヒットも記憶に新しい、「池井戸潤、絶対の代表作」に待望のシリーズ最新刊が登場!(小学館ウェブサイトより抜粋)

2位『むすびつき』畠中恵[著](新潮社)

自称「若だんなの生まれ変わり」という死神が、三人も長崎屋に乗り込んできちゃった! その上、前世の若だんなに会ったことがあると言い出す妖が続出? 前世の若だんなって、いったいどんな人だったの?? 妖は長い時を生きる。けど、人はいずれ……。だけど、みんなと一緒なら、明日へ行ける! 大人気シリーズ第17弾。(新潮社ウェブサイトより)

3位『万引き家族』是枝裕和[著](宝島社)

とある住宅街。柴田治と息子の祥太は、スーパーや駄菓子店で日々万引きをして生計をたてていた。ある日、治はゆりという少女が家から閉め出されているのを見かねて連れて帰ってくる。驚く妻の信代だったが、少女の家庭事情を案じ、一緒に「家族」として暮らすことに。年金で細々と生きる祖母の初枝、JK見学店で働く信代の妹・亜紀。6人家族として幸せに暮らしていたが、ある出来事を境に、彼らの抱える「秘密」が明らかになっていく―――。(宝島社ウェブサイトより)

4位『かがみの孤城』辻村深月[著](ポプラ社)

5位『ファーストラヴ』島本理生[著](文藝春秋)

6位『未来』湊かなえ[著](双葉社)

7位『神達に拾われた男(4)』Roy[著](ホビージャパン)

8位『デスマーチからはじまる異世界狂想曲(14)』愛七ひろ[著](KADOKAWA)

9位『蜘蛛ですが、なにか?(9)』馬場翁[著](KADOKAWA)

10位『コーヒーが冷めないうちに』川口俊和[著](サンマーク出版)

〈単行本 文芸書ランキング 7月24日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2018年7月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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