『風に恋う』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『風に恋う』額賀澪著
[レビュアー] 産経新聞社
茶園基(ちゃえん・もとき)は、吹奏楽をやめるつもりだった。入学する高校の吹奏楽部で部長をつとめる2歳上の幼なじみ、鳴神玲於奈(なるかみ・れおな)にも「入部しない」と伝えていた。かつて全国大会で金賞を受賞した同校の吹奏楽部は輝きを失っていた。
しかし、黄金世代の部長がコーチに就任して雰囲気は一変する。音を奏でることの魅力を知り、部員たちは本気で全国を目指す。そんななかで、玲於奈の代わりに部長に指名された茶園は、自分が理想とする音をつかめずにもがいていた。〈バラバラの人間が同じ方向を向こうとすることに意味があるんだよ〉。王道の青春小説。(文芸春秋・1600円+税)