養老孟司の『遺言。』が話題 「すぐに答えを求めるアナウンサー」に苦言

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養老孟司さん

 9月11日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、新書第1位は『極上の孤独』が獲得した。
 第2位は『遺言。』。第3位は『昭和の怪物 七つの謎』となった。

 2位の『遺言。』は解剖学者の養老孟司さん昨年11月に発表した一冊だ。NHK「おはよう日本」(9月2日放送)で養老さんのインタビューが放送され話題になった。養老さんは同番組で現代人が「意識」(アタマ)は全てだと思っているが、「感覚」(カラダ、五感で感じるもの)が大切だということを忘れている」と語った。また養老さんが視聴者へのメッセージとして「からだに訊け!」と色紙に書いたところ、インタビューをしていた男性アナウンサーは「具体的にどうすればいいんでしょうか?」と聞いてしまったという。すると養老さんに、「そうやってすぐ答を求めるのがアタマだけで考えている証拠だ」と指摘された、と男性アナウンサーは告白し、反省の弁を述べていた。

 現代のテレビでは何事も明快に解説し視聴者を「わかったような気にさせる」ことが求められるが、養老さんはその傾向にも釘を刺し、まずはカラダを動かし感覚を磨くことが大事だと問題提起したかったのだろう。

■新書 ノンフィクションランキング

1位『極上の孤独』下重暁子[著](幻冬舎)

現代では「孤独=悪」だというイメージが強く、たとえば孤独死は「憐れだ」「ああはなりたくない」と一方的に忌み嫌われる。しかし、それは少しおかしくないか。そもそも孤独でいるのは、まわりに自分を合わせるくらいなら一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで、成熟した人間だけが到達できる境地でもある。「集団の中でほんとうの自分でいることは難しい」「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」等々、一人をこよなく愛する著者が、孤独の効用を語り尽くす。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『遺言。』養老孟司[著](新潮社)

動物とヒトの違いはなにか? 私たちヒトの意識と感覚に関する思索――それは人間関係やデジタル社会での息苦しさから解放される道にもなる。「考え方ひとつで人生はしのぎやすくなりますよ」、そう著者は優しく伝える。ひと冬籠って書きあげた、完全書き下ろしとなる本書は、50年後も読まれているにちがいない。知的刺激に満ちた、このうえなく明るく面白い「遺言」の誕生! 80歳の叡智がここに。(新潮社ウェブサイトより)

3位『昭和の怪物 七つの謎』保阪正康[著](講談社)

昭和史研究の第一人者が出会った「戦争の目撃者たち」。東條英機、石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂が残した「歴史の闇」に迫る。(同書帯より)

4位『日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで』中公新書編集部[編](中央公論新社)

5位『知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術』池上彰[著]佐藤優[著](文藝春秋)

6位『信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変』安部龍太郎[著](幻冬舎)

7位『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子[著]大塚宣夫[著](文藝春秋)

8位『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』磯田道史[著](中央公論新社)

9位『不倫』中野信子[著](文藝春秋)

10位『朝鮮半島統一後に日本に起こること 韓国人による朝鮮半島論』シンシアリー[著](扶桑社)

■新書 ノベルスランキング

1位『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄』誉司アンリ[小説]堀越耕平[原作](集英社)

2位『天使たちの課外活動(6)テオの秘密のレストラン』茅田砂胡[著](中央公論新社)

3位『インド倶楽部の謎』有栖川有栖[著](講談社)

4位『ONE PIECE novel A 新世界篇(2)』浜崎達也[小説]尾田栄一郎[原作](集英社)

5位『ONE PIECE novel A スペード海賊団結成篇(1)』尾田栄一郎[原作]ひなたしょう[著](集英社)

6位『我が王と賢者が囁く』飯田実樹[著](幻冬舎コミックス発行/幻冬舎発売)

7位『僕のヒーローアカデミア(3) 雄英白書』堀越耕平[原作]誉司アンリ[小説](集英社)

8位『映画ノベライズ 銀魂2 掟は破るためにこそある』田中創[小説]空知英秋[原作]福田雄一[脚本](集英社)

9位『約束のネバーランド ノーマンからの手紙』七緒[小説]白井カイウ[原作]出水ぽすか[作画](集英社)

10位『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』維羽裕介、北國ばらっど、宮本深礼、吉上亮[小説]荒木飛呂彦[original concept](集英社)

〈新書 ノンフィクション / 新書 ノベルス ランキング 9月11日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2018年9月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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