芥川賞作家・高橋弘希の経歴がすごい 漫画家・プロ棋士を目指しバンドマンから小説家?![ゴロウ・デラックス]

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TBS「ゴロウ・デラックス」公式サイトより

 稲垣吾郎さん(44)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に28日、作家の高橋弘希さんが出演した。『送り火』で第159回芥川賞を受賞した高橋さんの驚きの経歴が明らかとなった。

■一度は断った「ゴロウ・デラックス」に出演

 この日の課題図書は高橋さんの『送り火』(文藝春秋)。第159回芥川賞を受賞した作品だ。2014年「指の骨」で第46回新潮新人賞を受賞しデビューした高橋さん。4度目の芥川賞候補で受賞となった。受賞会見で「とりあえず会見やらないと駄目っておっしゃったんで、引っ張り出されてきた感じ。嬉しいっちゃ嬉しいと思うんですけど、あまりガッツポーズはなかったかな」と語るなど飄々としたクールなスタイルが話題となった。

「ゴロウ・デラックス」では毎回芥川賞・直木賞の受賞者が決まると、2賞の受賞者を同時にゲストとして迎えるのが恒例となっている。しかし高橋さんはそのときは番組への出演を断ったそうで、同時に直木賞を受賞した島本理生さんだけが8月10日放送回に1人で出演している。

 稲垣さんは高橋さんを前に「たぶん嫌なのかなーと思って」と出演を断った理由を推測。それでも今回出演をした理由を問うと、高橋さんは「『ゴロウ・デラックス』は本を紹介してくれる番組。クイズ番組よりはいいかなと。本日はぬけぬけとやってきました」と色々な番組からオファーがあったことを明かしながら同番組を選んだ理由を語った。

■「圧倒的な文章力」と「高い完成度」

『送り火』は親の転勤で東京から青森へ転校した少年が主人公。田舎特有の閉鎖的な人間関係や暴力的な伝統に巻き込まれてゆく。圧倒的な文章力と高い完成度が評価され受賞となった。選考委員の島田雅彦さんは「一つ一つの言葉にコストをかけているということがありありと伝わってきますし、言葉を使って別世界を構築していくという、フィクション本来の醍醐味を十分に示してくれている快作ではないか」と絶賛している。

 稲垣さんも「すごかったですね。(舞台となる場所に行ったことがないのに)行ったことがある気がした。自分の記憶の何かと繋げてくれる感じがして」とその描写力に舌を巻いていた。

■「変態」から「戦争」へ

 番組では高橋さんのこれまでの人生も振り返った。高橋さんは大学生のころ、漫画家になりたいと考え、集英社に漫画を持ち込んだこともあるという。その作品は「『火星人大来襲』という赤塚不二夫もびっくりの傑作コメディ」だったと語る。

 しかし漫画家となることが叶わなかった高橋さんは、今度は漫画「ヒカルの碁」(集英社)に感動しプロ棋士を目指すことを決意。だが目指したのは「ヒカルの碁」で描かれた囲碁の棋士ではなく、将棋の棋士。「碁はよくわかんないので、将棋だったら指せるので将棋でいいかなと思って」そんな調子で半年ほど詰将棋などで腕を磨き、「指導対局でもやってやるか」と将棋センターに出向いたという。しかしそこで出会ったおじいさんが尋常ではない強さで、あっさりと将棋の道も断念。高橋さんはそのおじいさんとの対局を振り返り「恰幅が良くて白髪頭でネクタイが長い。あれは加藤一二三だったんじゃないか?だとしたらその当時全然弱くなかった」と冗談とも本気ともつかない飄々とした語り口で稲垣さんを笑わせた。

 その後人に勧められ小説をたくさん読むうちに、自分でも「これ書けるんじゃないかな」と考え、「エンタメ風の変態小説」を書いて文学賞に応募したという。「変態小説」のあらすじは「たぶん放送できない。高橋の人格も誤解を受ける」と言葉を濁した。

 残念ながら「変態小説」は日の目を見ることなく、高橋さんは塾講師をしながら音楽の道へ進む。しかし時が経つに連れまた小説を書きたいという思いが強くなり、音楽活動を休止し再び小説の道へ。その後2014年「指の骨」で新潮新人賞の受賞を果たし小説家としての道を踏み出した。同作は戦争を知らない世代による新たな戦争文学と評されており、文芸評論家の陣野俊史さんは同作を《この小説は時代に選ばれた小説である》《キナ臭いこの時代の選んだ戦争小説なのだ》と解説している。
https://www.bookbang.jp/review/article/30503

「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜に放送中。次回の放送は10月4日。ゲストは坂上忍さん。課題図書は『おまえの代わりなんていくらだっている』(新潮社)。公式サイトでは予告動画を配信中。
http://www.tbs.co.jp/goro-dx/

Book Bang編集部
2018年9月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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