第28回紫式部文学賞が決定 水原紫苑『えぴすとれー』が受賞

文学賞・賞

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 第28回紫式部文学賞が24日に発表され、水原紫苑さんの歌集『えぴすとれー』(本阿弥書店)に決まった。

 受賞作『えぴすとれー』は、枕詞、掛詞、縁語、見立て、音の効果などに気を配る伝統技法と『万葉集』などの古語を駆使した歌風の著者による9巻目の歌集。タイトルの「えぴすとれー」は、ギリシャ語で「手紙」を意味し、時空を自在に行き来し、虚と実の間をつなぎ、典麗な調べでイマジネーションを刺激する作品となっている。

 著者の水原紫苑さんは、1959年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大大学院仏文学専攻修士課程修了。春日井建に師事。1989年に第1歌集『びあんか』を刊行し、翌年現代歌人協会賞を受賞。1999年に『客人』で第1回駿河梅花文学賞、2000年に『くわんおん』で第10回河野愛子賞、2004年に『あかるたへ』で第5回山本健吉文学賞と第10回若山牧水賞、2017年に「極光」30首で第53回短歌研究賞を受賞している。その他著書に、『うたうら』『いろせ』『さくらさねさし』『武悪のひとへ』『光儀』などがある。

「紫式部文学賞」は、女性作家による文学作品を対象とした文学賞。伝統ある日本女性文学の継承・発展と、市民文化の向上に資することを目的として1990年に創設、宇治市と宇治市教育委員会が主催している。第28回の選考委員は、落合恵美子、川上弘美、鈴木貞美、竹田青嗣、村田喜代子の5氏が審査を務めた。

Book Bang編集部
2018年9月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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