40代でSMに覚醒した俳優の想像以上にガチな告白本
[レビュアー] 吉田豪(プロ書評家、プロインタビュアー、ライター)
高嶋兄がタイトルでもカバー写真でも変態ぶりを前面に出してきた、この本。40代前半でSMに目覚め「僕はついに長年潜在的に求めていた『これだ』と思うものに出合えた。確かに出合いは遅かったかもしれない。でも、物事をはじめるのに早いも遅いもないんです! その分、急ピッチで取り戻さなくては、という勢いも出てきますからね」と言い出すだけあって、想像以上にガチでSMの魅力を語りまくる本だった。
つまり、「昔僕は女の子のマスカラを舐めとるのが好きでした。手の指を丁寧に舐める、舐めさせるのにハマった時期もあったなぁ」だの、「女の子をエズかせるのもいいんですよ。喉の奥でオエッってさせるのがいい。唾液もエズかせるのもいいけど、そもそも口の中を見るのが好きなんですよ。口腔内フェチっていうんですかね。女の子に『口の中見せて』と言うと、ドン引きされますけど、懲りずによく言っています」だのと、余計な告白を連発しまくり!
さらには自分が「アナルフェチ」だとか、「僕は普通の挿入には興味はないんです。僕がただひとつ興味があるのは、クスコ(膣鏡)という医療器具を肛門や膣に差し入れて、開いて中を見ること」だとか告白した流れで、「デヴィッド・クローネンバーグ監督のサイコ・スリラー映画『戦慄の絆』は最高なんですよ」と言い出すのもどうかしてる!
結局、彼の好きな映画が『ソドムの市』や『時計じかけのオレンジ』なのもその変態性によるものであり、「たまに共演女優に『今度クスコ持ってくるから、中見せてよ』と言うんですけど、死ぬほど引かれますよね(笑)」なんてことをやっている彼が「俳優の中で“同志”といえば、数年前から仲よくさせていただいている吉田鋼太郎さん」と言っていることで、高嶋兄夫人を「ヤらせてくれ」と口説いた吉田鋼太郎の幻想も、「そういうの気にしないし、面白いじゃないですか」と言った高嶋兄の幻想も高まるのであった。