角幡唯介『極夜行』が受賞 本屋大賞とYahoo!による「ノンフィクション本大賞」が決定

文学賞・賞

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 全国の書店員約100人の投票と実行委員会による選考によって優れたノンフィクション作品を選ぶ「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」の大賞作品が11月8日、角幡唯介さんの『極夜行』(文藝春秋)に決まった。

 受賞作『極夜行』は、太陽が昇らない冬の北極を、一頭の犬とともに命懸けで体感した80日間の記録をまとめた一冊。過酷な状況で自身が感じた恐怖、不安、飢餓感や暗闇の中で見つけた自然の美しさが表現されている。

 登山家で作家の服部文祥さんは、「完全に人間界から隔絶された真っ暗闇の極夜に、自らを放り込んでたどり着いた著者の深い洞察は、行為と思索という確かな両輪に支えられた、科学であり、芸術であり、そして最先端の探検である」(読売新聞・書評)と評している。( https://www.bookbang.jp/review/article/548614

 著者の角幡唯介さんは、1976年北海道芦別市生まれ。早稲田大学卒、同大学探検部OB。2002年~2003年にチベット、ヤル・ツアンポー峡谷の未踏査部を単独で探検。2003年に朝日新聞社入社、2008年退社後、ネパール雪男捜索隊に参加。2009年に再び単独でツアンポーの探検に向かい、その体験をまとめた『空白の五マイル』を2010年に発表。同作は開高健ノンフィクション賞や大宅壮一ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。2012年に発表した『雪男は向こうからやって来た』は新田次郎文学賞を受賞。翌年発表した『アグルーカの行方』は講談社ノンフィクション賞を受賞。2015年発表の『探検家の日々本本』は毎日出版文化賞書評賞を受賞している。

「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」は、全国の書店員が「今いちばん売りたい本」を選ぶ「本屋大賞」とインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」が連携して新設された賞。前年の7月1日から当年の6月30日の間に、日本語で出版されているノンフィクション作品全般に与えられる。選考は、約100人の書店員による一次選考後、「本屋大賞」実行委員会と「Yahoo!ニュース」による審査・選考を経て大賞作品を決定する。大賞作品の作者には副賞として100万円の取材支援費を提供される。

 今年の「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」のノミネート作品は以下のとおり。

『一発屋芸人列伝』山田ルイ53世[著]新潮社
『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』松本創[著]東洋経済新報社
『極夜行』角幡唯介[著]文藝春秋
『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』旗手啓介[著]講談社
『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』青山透子[著]河出書房新社
『ノモレ』国分拓[著]新潮社
『Black Box』伊藤詩織[著]文藝春秋
『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』内田洋子[著]方丈社
『ユニクロ潜入一年』横田増生[著]文藝春秋
『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』石井光太[著]双葉社

Book Bang編集部
2018年11月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク