第24回中山義秀文学賞が決定 帚木蓬生『守教』

文学賞・賞

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 第24回中山義秀文学賞が11日に発表され、帚木蓬生さんの『守教(上・下)』(新潮社)に決まった。

 受賞作『守教』は、隠れキリシタンたちを主人公にした歴史小説。史実をもとに、日本でキリスト教を信仰した人々の過酷な状況や残酷な処刑、心の迷いなどを描く。今年3月には吉川英治文学賞を受賞している。

 著者の帚木さんは、新潮社発行のPR誌「波」(2017年10月号)に掲載されたインタビューで、「ふつうの生活を送っとる百姓や庄屋たちが、キリスト教にどげんして出会い、受け入れ、それによって日常がどげんかわったのか。私は、今まであまり取り上げられてこなかったその部分ば、しっかりと書いておきたかったとです」と語り、執筆の動機や創作の舞台裏を明かしている。(https://www.bookbang.jp/review/article/538913

 帚木さんは、1947年福岡県生れ。東京大学仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九州大学医学部に学ぶ。2018年1月現在は精神科医。1993年に『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞、1995年に『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、1997年に『逃亡』で柴田錬三郎賞、2010年に『水神』で新田次郎文学賞、2011年に『ソルハ』で小学館児童出版文化賞、2012年に『蠅の帝国』『蛍の航跡』の2部作で日本医療小説大賞、2013年に『日御子』で歴史時代作家クラブ賞作品賞をそれぞれ受賞。『国銅』『風花病棟』『受難』といった小説のほか、新書、選書、児童書などにも多くの著作がある。

 贈賞式は、2019年2月3日、白河市立図書館りぶらん多目的ホールで行われる予定。

「中山義秀文学賞」は、1993年4月に大信村(現白河市大信)に、「中山義秀記念文学館」開館を記念して創設された文学賞。前年4月1日より当年3月31日までに刊行された書籍を対象に、日本の歴史を素材とした文学作品(歴史・時代小説)の中から、もっとも優れた作品に与えられる。第24回の選考委員は、高橋義夫さん、中村彰彦さん、朝井まかてさん、清原康正さんの4氏が審査を務めた。

 第24回の候補作品は以下のとおり。

『騎虎の将 太田道灌(上・下)』幡大介[著]徳間書店
『虎の牙』武川佑[著]講談社
『守教(上・下)』帚木蓬生[著]新潮社

Book Bang編集部
2018年11月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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