稲垣吾郎さん(44)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に23日、作家の平野啓一郎さんが出演した。平野さんの最新作をもとに二人は「愛と過去」について語り合った。
■他人に成り代わって生きた「ある男」
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- ある男
- 価格:1,760円(税込)
この日の課題図書は平野さんの最新作『ある男』(文藝春秋)。物語は不慮の事故で亡くなった男性が、実は家族に名乗っていた人物ではなかったことが判明するところから展開する。男性の正体を探る弁護士が主人公となり、弁護士自身も調査をきっかけに自身が抱える問題に向き合うこととなる。
平野さんは他人に成り代わって生きる人物を題材としたことについて「自分自身が40代になって、人生は一回しかないことをつくづく考えるようになった」からだという。「普通にしてても別の人になりたいと思うこともありますけど、今の人生が辛かったりすると切実に“違う人生だったらよかった”と思うこともあるんじゃないかなと思って」と今作の構想のきっかけについて語った。
■僕は“今”を見ている
物語では男性の妻は真実を知りショックを受け、亡き夫への愛を自問する。過去を偽って生きてきた相手を許せるのか、愛せるのか? 「愛にとって過去とは何か」これが平野さんが今作で描きたかったテーマだと番組では解説された。そこで平野さんは「(愛は)そんなに綺麗事じゃない。続いていくことが愛にとっては大事。受け入れ難い事も受け入れて、その時に相手を愛し直す。それまで通りの形では続かないけど、違う形で愛し直すことで続くものもある」と持論を述べた。
一方稲垣さんは相手の暗い過去を受け入れられるか、と問われると「僕は比較的“今”を見ている人だと思うし、あまり気にしない。過去もあるから今のあなたが好きというのは間違っていないし、過去を知りたくもなる」「それが嘘偽りであったとしても“今”でいいかな」と鷹揚な一面をみせた。
■稲垣吾郎を主人公とした小説も?
番組では平野さんのこれまでの作家生活も振り返った。文芸誌「新潮」の編集長に直接手紙を書いたというデビュー秘話や、数々の「視覚的実験小説」も取り上げられた。また書斎の様子や近年の話題作『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)についても触れられた。
さらに番組最後には平野さんが稲垣さんを主役にして小説を書くなら、と小説の構想を語った。「人がいない場所で何かに没頭している表情を見てみたい」と語り、スイスで機械式時計を手作りする「独立時計職人」として稲垣さんを描くイメージが浮かんだという。稲垣さんは「嬉しいなあ」と喜びながらも「実際の僕だったらイラチだから」細かい作業はできそうにない、とイメージとのギャップがあることを告白していた。
「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58に放送中。次回は11月29日。ゲストは丸山貴史さん。課題図書は『わけあって絶滅しました。』(ダイヤモンド社)。公式サイトでは予告動画を配信中。
http://www.tbs.co.jp/goro-dx/
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