戦前からの知恵に注目が集まる? 年間ベストセラー上位作品が売れ続けるワケ

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左から『漫画 君たちはどう生きるか 』吉野源三郎[原作]羽賀翔一[画](マガジンハウス)、『大家さんと僕』矢部太郎[著](新潮社)

 12月4日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 ノンフィクション・教養書他第1位は『新・人間革命(30)(下)』が獲得した。
 第2位は『日本国紀』。第3位は『誰かを幸せにするために 大人の流儀(8)』となった。

 4位以下で注目は8位の『漫画 君たちはどう生きるか』と10位の『大家さんと僕』。『漫画 君たちはどう生きるか』は11月30日に発表されたトーハンの2018年年間ベストセラーの総合部門で1位に輝いた。また『大家さんと僕』も年間ベストセラーで総合3位にランクインしている。

 この2作品にはいくつか共通点がある。どちらも漫画で描かれた物語だけに読みやすく、エピソードから得られる教訓が心に深く届く。また『君たち~』が太平洋戦争前の1937年に書かれた歴史的名著を基にしており、『大家さん~』も「終戦時17歳だった」という80代の大家さんとの交流を描いている。戦前から受け継がれてきた人としてのあるべき姿や生き方のヒントは、現代の読者にも大いに参考になったようだ。また二作品ともに2017年に刊行されており、1年以上売れ続けるロングセラーであることも特徴的だ。流れの早い時代だからこそ、受け継がれてきた知恵に注目が集まり、息の長いヒットにつながったとみられている。

1位『新・人間革命(30)(下)』池田大作[著](聖教新聞社)

2位『日本国紀』百田尚樹[著](幻冬舎)

私たちは何者なのか――。神話とともに誕生し、万世一系の天皇を中心に、独自の発展を遂げてきた、私たちの国・日本。本書は、2000年以上にわたる国民の歴史と激動にみちた国家の変遷を「一本の線」でつないだ、壮大なる叙事詩である! 当代一のストーリーテラーが、平成最後の年に送り出す、日本通史の決定版!(幻冬舎ウェブサイトより)

3位『誰かを幸せにするために 大人の流儀(8)』伊集院静[著](講談社)

今年の秋で、三十三年目を迎える。知らん振りをしてやり過ごすようにはしているが、夏の終りの雨垂れを病院の窓から見ていると記憶は容赦なく背中を叩く。――あの笑顔は、すべて私のためだったのだ。彼女は自分が生きている間は、このダメな男を哀しませまいと決心していたに違いない。人間は誰かをしあわせにするために懸命に生きるのだ。(講談社ウェブサイトより)

4位『アラサーちゃん 無修正(6)』峰なゆか[著](扶桑社)

5位『ゲッターズ飯田の『五星三心占い』決定版』ゲッターズ飯田[著](朝日新聞出版)

6位『絵本 すみっコぐらし そらいろのまいにち』よこみぞゆり[著](主婦と生活社)

7位『東大ナゾトレ 東京大学謎解き制作集団AnotherVisionからの挑戦状(7)』東京大学謎解き制作集団AnotherVision[編](扶桑社)

8位『漫画 君たちはどう生きるか 』吉野源三郎[原作]羽賀翔一[画](マガジンハウス)

9位『偽装不倫(1)』東村アキコ[著](文藝春秋)

10位『大家さんと僕』矢部太郎[著](新潮社)

〈単行本 ノンフィクション・教養書他ランキング 12月4日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2018年12月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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