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- 悪玉伝
- 価格:1,760円(税込)
第22回司馬遼太郎賞が11月30日に発表され、朝井まかてさんの『悪玉伝』(KADOKAWA)に決まった。
受賞作『悪玉伝』は、江戸時代最大の疑獄事件「辰巳屋一件」を題材に描いた歴史エンタメ。大坂の炭問屋・木津屋の主の吉兵衛は、実の兄・久佐衛門の訃報を受け、実家の大商家・辰巳屋で葬儀の手筈を整えるはずが、事態は辰巳屋の相続争いに発展。いつしか相続争いの噂は江戸に届き、将軍・徳川吉宗や寺社奉行・大岡越前守忠相の耳に入る一大事となる。
書評家の杉江松恋は、《朝井の着眼点が優れているのは、この事件を善悪の対決図式ではなく、いくつもの大義が存在し、力を持つ者の思惑次第で白黒がいつでも塗り替えられる、政治の所産として見たことだ》(週刊新潮・書評)と評している。(https://www.bookbang.jp/review/article/557432)
著者の朝井まかてさんは、1959年大阪府生まれ。広告会社勤務を経て独立。2008年に小説現代長編新人賞奨励賞を受賞して作家デビュー。2013年に発表した『恋歌』で本屋が選ぶ時代小説大賞を、翌2014年に直木賞を受賞。続けて同年『阿蘭陀西鶴』で織田作之助賞を受賞した。2015年『すかたん』が大阪ほんま本大賞に選出。2016年に『眩』で中山義秀文学賞を、2017年に『福袋』で舟橋聖一文学賞を受賞。2018年には『雲上雲下』が中央公論文芸賞を受賞した。その他の著書に『ちゃんちゃら』『先生のお庭番』『ぬけまいる』『御松茸騒動』『藪医 ふらここ堂』『残り者』『落陽』『最悪の将軍』『銀の猫』などがある。
贈賞式は、来年2月16日、大阪市中央区のNHK大阪ホールで開かれる「第23回菜の花忌」に合わせて行われる。
「司馬遼太郎賞」は、司馬遼太郎記念財団が主催する文芸・学芸・ジャーナリズムを対象とした賞。創造性にあふれ、さらなる活躍を予感させる作品に与えられる。第22回の選考は、安部龍太郎さん、井上章一さん、後藤正治さん、辻原登さん、柳田邦男さんの5氏が務めた。
昨年は、新資料をもとにロッキード事件の謎に迫った奥山俊宏さんの『秘密解除 ロッキード事件』が受賞している。過去には北方謙三さんの『水滸伝』(第9回)、原武史さんの『昭和天皇』(第12回)、葉室麟さんの『鬼神の如く 黒田叛臣伝』(第20回)などが受賞している。
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