第63回岸田國士戯曲賞が発表 原発事故をモチーフにした松原俊太郎さんの演劇『山山』に決定

文学賞・賞

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 第63回岸田國士戯曲賞が12日に発表され、劇作家の松原俊太郎さんの「山山」(「悲劇喜劇」2018年7月号掲載)に決まった。

 受賞作の「山山」は、東日本大震災による原発事故をモチーフにした演劇作品。立入禁止区域に戻った家族が目にした光景は、作業用ロボットと外国人労働者による除染作業。汚染物質の山で除染作業に従事する労働者の声と故郷に戻った家族たちの抵抗を描く。

 著者の松原さんは、1988年熊本県生まれ。神戸大学経済学部卒。劇団などには所属せず、個人で戯曲を執筆し、活動を続けている。2015年に処女戯曲『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞(愛知県芸術劇場主催)大賞を受賞。2017年に戯曲『忘れる日本人』がKAAT神奈川芸術劇場と地点の共同制作作品として上演される。同年、京都芸術センター主催「演劇計画II」の委嘱劇作家として戯曲『カオラマ』第一稿を発表。2018年には早川書房「悲劇喜劇」(1月号)に小説『またのために』を寄稿。同年2月、戯曲『正面に気をつけろ』を発表する。

 贈賞式は、4月23日(火)、東京神田錦町・學士會館で行われる。

 岸田國士戯曲賞は、新人劇作家の登竜門とされることから、「演劇界の芥川賞」とも称される戯曲賞。劇作家・岸田國士の遺志を顕彰すべく、株式会社白水社が創設。演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成を目的に、1955年に新劇戯曲賞として設置され、1961年に新潮社の岸田演劇賞を受け継ぎ「新劇」岸田戯曲賞となる。その後、1979年に岸田國士戯曲賞と改称され今日に至る。選考対象は原則として1年間に雑誌発表または単行本にて活字化された作品とするが、画期的な上演成果を示したものに限って、選考委員等の推薦を受ければ、生原稿・台本の形であっても、例外的に選考の対象となる。

 昨年は、神里雄大さんの『バルパライソの長い坂をくだる話』と福原充則さんの『あたらしいエクスプロージョン』が受賞。過去には唐十郎さんの『少女仮面』(第15回)、井上ひさしさんの『道元の冒険』(第17回)、つかこうへいさんの『熱海殺人事件』(第18回)などが受賞している。

 第63回の候補作品は以下のとおり。

坂元裕二『またここか』(リトルモア)
詩森ろば『アトムが来た日』(上演台本)
瀬戸山美咲『わたし、と戦争』(上演台本)
根本宗子『愛犬ポリーの死、そして家族の話』(上演台本)
古川日出男『ローマ帝国の三島由紀夫』(「新潮」2018年10月号掲載)
松原俊太郎『山山』(「悲劇喜劇」2018年7月号掲載)
松村翔子『反復と循環に付随するぼんやりの冒険』(上演台本)
山田百次『郷愁の丘ロマントピア』(上演台本)

Book Bang編集部
2019年3月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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