「ここはゴールじゃない」 新婚当初の杏が語った夫婦円満の秘訣!

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女優の杏さんと大倉眞一郎さん
女優の杏さんと大倉眞一郎さん

 女優の杏さんと大倉眞一郎さんが本を肴に「四方山話」を繰り広げるJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。2008年からはじまり、紹介した本はゆうに1000冊を超える。大ヒット小説から、まだ世に知られていないような作品まで、杏さんと大倉さんがそれぞれお薦めの本を紹介してきた。

 3月末で番組はフィナーレを迎える。「聞けば聞くほど読みたい本が増えていく!」などと、リスナーから愛された2人の本にまつわる「四方山話」は、時には本の話題にとどまらず、プライベートの話になることも。特に長年のリスナーからすると、番組スタート時モデルとして活躍していた杏さんが、その後女優デビューし、結婚し、母となるその過程を、大倉さんと本を通じて一緒に歩んでいるような気持ちになる瞬間もあっただろう。

 番組フィナーレを記念して、今回は、西川美和『永い言い訳』を紹介する回で、新婚当初の杏さんが語った夫婦円満の秘訣を、番組10周年記念本『BOOK BAR お好みの本、あります。』から抜粋して紹介しよう。

 ***

大倉 西川美和さんの『永い言い訳』です。簡単に言ってしまうと、そのときそのときで悔いなく生きていくしかないね、というオチになってしまうかもしれません。これは夫婦の話なんですよ。(中略)僕は出張中に新幹線で読み終えたんですが、後半は泣きながら読みました。いちいち涙を拭くと周囲にばれてしまうので、涙をダラダラ流しながら。

杏 家で読んでいたら大変なことになっていましたね。

大倉 今までの西川さんの小説は、淡々と進むものが多かったので、なんとなく安心して読んでいたんですけれども、もう前半からきついきつい。後半になって、なるほど、なるほどと。結局私がわかったのは、私は西川美和さんが大好きだということです。人間、みんな「ごめんなさい」とか「反省します」とか「もうしません」とかを大声で叫んでも、絶対に伝わらない思いがあるんですよ。

杏 「永い」というのがロングじゃなくて、永遠の方になっているんですよね。

大倉 この長尺の「長い」をつけていないのも、ものすごくちゃんと考えてある。お互いわかっているはずだとか、伝わっているはずだとか、信じているから大丈夫だとか、なかなか人間そうはいかないとこありますよね。でもやっぱり、きっちり伝えるべきことを伝えようとしないといけないんですよ。私も結婚生活が30年を超えましたが、相手のことをわかっているつもりで、なかなかわからないもんですよ。杏ちゃんはこれから長い夫婦生活を過ごしていくわけですよね。どうですか。

杏 ここはゴールじゃないね、というのはすごく話しています。やっと結婚できたね、という感じはありますが、ここはスタートであってゴールじゃないねと。

大倉 そういう話をたくさんした方がいいですよ。だんだん言わなくてもわかってるだろ、というふうになっちゃうと、本当は伝わってないことが出てきますから。

杏 そういえば、夫婦って1日トータルで3分以上会話した方がいいというのを見たんですよ。大倉さん、夫婦で3分話してます?

大倉 話してますよ。僕のところは晩飯を基本的には一緒に食べるというスタイルなんで、話はしますよ。

杏 我が家も3分くらいは話してるよね、と言っていたんですが、テレビを見ていたりするとその時間は含まれないわけで、3分を切るということもよくあるそうなんです。

大倉 そうなんだ、そうかもねー。

杏 でもたくさん話した方がいいですよね。

大倉 『永い言い訳』を読んでください。長く夫婦生活を続けている方も、これから続けていく方も、こんなんじゃだめだと思えますよ。

 ***

 新婚夫婦とベテラン夫婦である杏さん、大倉さんの2人の掛け合いに、本が読みたくなるとともに、思わず頷いてしまった方も多いのではないだろうか。

新潮社
2019年3月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「新潮」「芸術新潮」「週刊新潮」「ENGINE」「nicola」「月刊コミックバンチ」などの雑誌も手掛けている。

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