愛が深すぎる!? 女優・杏のおすすめとは

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女優の杏さんと大倉眞一郎さん
女優の杏さんと大倉眞一郎さん

 女優の杏さんと旅人・大倉眞一郎さんが、ナビゲーターとして毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの人気ラジオ番組「BOOK BAR」が、3月末を持ってフィナーレを迎える。

 2008年にスタートした同番組は、毎年杏さんと大倉さんが紹介した書籍の中から「これは!」という1冊を選出し、「BOOK BAR大賞」という独自の賞を発表していた。過去にはノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』や、『ハゲタカ』シリーズでおなじみ、真山仁の『コラプティオ』などが受賞している。

 本を愛する2人が番組で紹介するだけでも十分おすすめなのに、その中でもさらにお薦めをする本、それが「BOOK BAR大賞」なのだ。

 今回は、フィナーレを迎える前に、番組をまとめた『BOOK BAR お好みの本、あります。』から、杏さんが選んだ「BOOK BAR大賞」となった、清水浩史『秘島図鑑』の回を振り返ってみよう。(引用は同書より)

 ***

杏 秘島、つまり秘められた島。副題はTHE BOOK OF SECRET ISLANDS IN JAPAN。しかも、行ける島ではなく、行けない島ガイドブックなんです!

大倉 上陸不可能な島ってことですか?

杏 はい。実はこういう島が、日本全国に7000以上あるらしいんですね。上陸が禁じられている場所もありますし、過疎化が進んでしまって今は誰もいない、という島もあったり。掲載されている中で有名なのは硫黄島です。あるいは物理的に接岸できないような島や、人は住んでいるんだけれども北方領土、竹島、尖閣諸島など、物理的・政治的に私たちが行くことのできない、いろいろな問題がおこっている島が紹介されていたり。私、こういうの大好きなんですよ~!(中略)この本でまたいいのは、写真が島ごとについているところです。

大倉 すごくきれいに撮ってあるね。本当にとんがりコーンみたいなとんがった島もあるんですね。

杏 雨風に削られていくと、こうしてだんだん鋭利な形になっていくんですよね。この孀婦岩(そうふがん)という島の、ちょっと変わったロマン溢れるエピソードを紹介します。雑に削った鉛筆の芯だけが海からにょきっと出ているような形の、島というよりは岩なんですが、海抜100メートルくらいあるんです。ここに2003年に登ろうとした人々がいました。

大倉 すごい、絶壁だよ!

杏 接岸もできないので何度も何度もトライして、やっと登ったらしいんです。そこで彼らが見たものは……さびついた3本のハーケン! 先に誰か登っていた……。ああ、もうすごいロマン!

大倉 がっかりしたよね。

杏 かつて登頂したけれども、大々的に自慢しなかった人がいた、ということではないでしょうか。

大倉 粋な人たちだね。

(中略)

杏 これはね、こういう本がなければ知ることもなければ、見ることもなかなかできない。私の大好きなジャンルでした。もうなんか、愛が深すぎて。

 ***

 こんな2人の本にまつわる「四方山話」を楽しむことができる「BOOK BAR」。フィナーレを迎えるにあたって、2人のガイドを頼りに、お好みの本を見つけてみては。

新潮社
2019年3月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「新潮」「芸術新潮」「週刊新潮」「ENGINE」「nicola」「月刊コミックバンチ」などの雑誌も手掛けている。

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