財団法人川端康成記念会が25日、優れた短編小説に贈られる川端康成文学賞について、今年の選考を休止することを発表した。
同賞は川端康成さんの没後にノーベル文学賞の賞金を基金として創設。独自の作風で知られる私小説作家・上林暁さんの「ブロンズの首」が受賞した第1回から、新潮社の協力を得ながら、44回にわたり選考を行ってきた。
受賞者には水上勉さん、開高健さん、色川武大さん、島尾敏雄さん、大江健三郎さん、古井由吉さん、丸谷才一さん、筒井康隆さん、三浦哲郎さん、大庭みな子さん、村田喜代子さん、車谷長吉さん、河野多惠子さんなどが名を連ね、近年では円城塔さんの「文字渦」(第43回)、保坂和志さんの「こことよそ」(第44回)が受賞している。
発表によると、川端香男里理事長が体調不良で審査委員長の責務を果たせなくなったことと、これまでの出費が2億円を超え、運営基金が危うい状態であることが休止の理由だ。記念会は「スポンサーが見つかるなど、財政面が解決すれば再開の可能性はある」とコメントしている。
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