子どもの幸福度を確実に上げ、母親自身が人生の主導権を取り戻す最強のツール「非認知能力」のパワー

イベントレポート

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

ライフコーチ・ボーク重子さん
米・ワシントンDC在住のライフコーチ・ボーク重子さん

5月18日に東京・六本木で開催された「WOMAN EXPO 2019」に、「全米最優秀女子高校生の母」としてテレビ出演なども多い、米・ワシントンDC在住のライフコーチ・ボーク重子さんが登壇した。「人生の主導権を取り戻す」をテーマに行われた講演内容をダイジェストでお伝えする。

 ***

 女性は「女として」「妻として」「母として」、「~~すべき」という事柄に取り囲まれて生きています。そのため自分本来の姿を見失い、何のために生きているのかわからなくなってしまう人もいるようです。
 でも、いまや人生100年時代。「妻」「母」としての生活が一段落してからの人生も長い。
 誰でも自分の人生を生きていいのです。子育て中のママさんだって、まず自分が幸せでなければ、幸せな子どもは育ちません。
 幸いなことに、最近は長い間女性にとって閉ざされていた扉も少しずつ開かれるようになってきました。そんな時代だからこそ、皆さんにお伝えしたいことがあります。

 人生の主導権を握るための3つの鍵。
・パッション
・ライフマネジメント
・経済的自立
 この鍵を確実に手に入れれば、夢は叶います。

 皆さんは、絶対に失敗しないと約束されたら何に挑戦したいですか?
 カフェをオープンする、弁護士になる、ファッションブランドを立ち上げる・・・・・、いろいろ夢はありますよね。その夢こそが、「パッション」のタネです。大好きなこと。自分の生きがいが見つかる! とワクワクすること。パッションのタネは「パンを焼いている時はいつでもハッピー」というくらいの小さなものでもかまいません。それがカフェやパン屋さんを作るという大きなパッションにつながることもある。
 でも大抵の人はその絵を頭に描いた瞬間に「うまくいくはずがない」「無理」と結論付けてしまいます。
 なぜでしょう。それは、2番めの鍵「ライフマネジメント」がうまく機能していないからではないでしょうか。
 まずパッションが見つかったら、そこに到達するまでに必要な準備をできる限り細分化することが大切です。最初に大きなゴールだけ漠然と見ていたら到達できそうにないという気持ちになるのも当然。でも準備の作業を逆算して小さく小さくしていくと、日々の暮らしの中にその行動を組み込んでいきやすくなり、夢がグンと現実的になります。
 たとえば、パン屋さんが夢なら、「最近人気のベーカリーのパンを1日3種類買って細かく味をチェックする」「週末は1日2種類のパンを焼く」「小麦粉のメーカーをリサーチする」などという細かな作業を毎日の習慣にしていきます。その先に、「事業のパートナー探し」「メニュー作り」「予算作り」などやや大きい作業を行動に移していくわけです。

 そこでとても重要になるのが、「非認知能力」です。
「非認知能力」とは、IQやテスト結果などの数値化できる能力ではなく、「やりぬく力」「自己肯定感」「問題解決力」など数値化できない人間力のことをいいます。2020年の教育改革の核になっているのも、非認知能力に関する取り組みです。子どもが心の強い幸せな子に育つために最重要なのがこの非認知能力である、と書籍にも書きましたが、実はママさんたちも、もっと言えば老若男女すべての人にとって、非認知能力が幸せな人生の最大の支えになることは間違いありません。
 パッションに向かって準備を習慣に落とし込んでいくときに、自分を信じてやり抜くことや、大小様々な問題を自分で根気強く解決していく非認知能力が求められます。

 私の娘はアメリカの非認知能力を重視する教育の中で育ちました。私自身は実はとても自己肯定感の低い人間だったのですが、子育てを通して非認知能力を身につけることができました。また、長い間夢だった現代アートギャラリーを開くために私が奮闘する姿を見て、娘もパッションの力を学んでくれたのではないかと思っています。
 私たちは、パッションを見つけてなりたい自分になること、その姿を後に続く次の世代に渡していく、ロールモデルになることが課せられています。それは、子ども、後輩、あるいは直接は知らない誰かかもしれません。いずれにしても、私達がこの一瞬をどう生きるかは確実に次の世代に伝わっていきます。
 だから、ぜひ、「べき」にとらわれず自分らしい幸せな自分の人生を生きるためにパッションのタネを見つけてほしいと願っています。

ボーク重子
ICF認定ライフコーチ。福島県出身。30歳の誕生日直前に渡英、ロンドンで現代美術史の修士号を取得後、アメリカ人男性と出会い渡米、出産。2004年、ワシントンDCで現代アートギャラリーをオープンした。現在はライフコーチとして日米で講演・執筆活動も多い。著書『「非認知能力」の育て方』(小学館)が話題に。一人娘・スカイは2017年「全米最優秀女子高校生コンテスト」で優勝、現在コロンビア大学に在学中。

小学館
2019年5月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

小学館

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

株式会社小学館のご案内

1922(大正11)年創業。社名は同年に創刊された学年別学習雑誌『小学五年生』『小学六年生』にちなんでいます。その後、幼児誌や、コミック誌、総合週刊誌、ファッション誌などにも進出。書籍分野でも、辞書、歴史書、文芸書など様々な分野の本を刊行しています。