韓国発 女性の生き辛さを描いた小説が異例のベストセラー[文芸書ベストセラー]

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 5月28日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『そして、バトンは渡された』が獲得した。
 第2位は『百花』。第3位は『平場の月』となった。

 4位以下で注目は6位にランクインした『82年生まれ、キム・ジヨン』。2016年に韓国で刊行され100万部を突破した小説で、日本では2018年末に刊行。韓国のごく一般的な女性の象徴である主人公が差別やセクハラ、女性蔑視にまみれた韓国の社会で生きる辛さが描かれる。

 韓国でのヒットの理由を書評家の永江朗さんは《多くの女性が「ジヨンは私だ」と感じたからだ》と分析する。日本でも共感が広がり翻訳小説としては異例の13万部を突破しているという。
https://www.bookbang.jp/review/article/563724

 作家の村田沙耶香さんも《ある普通の女性が当たり前に背負わされている絶望。これが「特別な誰か」の物語ではない、という事実が、とてもショッキングであると同時に大きく頷(うなず)かされる》と評し、《10年後のキム・ジヨンがどんな人生を送っているか、それは今を生きる私たちにかかっているのだ》と述べ、共に社会で生きる男性たちも必読の一冊であると訴えている。
https://www.bookbang.jp/review/article/565399

1位『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ[著](文藝春秋)

私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『百花』川村元気[著](文藝春秋)

「あなたは誰?」息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。ふたりには忘れることのできない”事件”があったーー。現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』の著者、待望の最新刊!(文藝春秋ウェブサイトより)

3位『平場の月』朝倉かすみ[著](光文社)

「おまえ、あのとき、なに考えていたの?」「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね。ちょっと」朝霞、新座、志木――。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる――。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。(光文社ウェブサイトより)

4位『ひと』小野寺史宜[著](祥伝社)

5位『シーソーモンスター』伊坂幸太郎[著](中央公論新社)

6位『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ[著]斎藤真理子[訳](筑摩書房)

7位『異世界居酒屋「のぶ」 六杯目』蝉川夏哉[著](宝島社)

8位『すぐ死ぬんだから』内館牧子[著](講談社)

9位『転生貴族の異世界冒険録 自重を知らない神々の使徒(5)』夜州[著](一二三書房)

10位『異世界で土地を買って農場を作ろう(3)』岡沢六十四[著](オーバーラップ)

〈単行本 文芸書ランキング 5月28日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2019年6月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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