『牡丹社事件 マブイの行方』
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『牡丹社事件 マブイの行方日本と台湾、それぞれの和解』平野久美子著
[レビュアー] 産経新聞社
琉球(沖縄)の船が明治4(1871)年、台風で台湾南東部に漂着した。だが、不幸にも侵入者と勘違いした先住民が54人を殺害。明治政府は懲罰のためとして、3年後に初の海外派兵を行った。
2つを合わせ「牡丹社事件」と呼ばれている。150年近く前の遠い過去ながら、台湾と沖縄で事件に連なる末裔(まつえい)らは「和解」を求めて、いまも心の交流を続ける。
著者は、関係者の声を丹念に取材し、沖縄の言葉で「魂」を意味する「マブイ」を探した。この事件がなぜ、なおも語り継がれているのか。それぞれの心情の奥底に迫ったノンフィクションだ。(集広舎・1852円+税)