『偽善者の見破り方』岩田温著
[レビュアー] 産経新聞社
気鋭の政治哲学者が、「リベラル」な政治家、評論家、メディアの言論を冷静かつ論理的に分析、その偽善性を白日の下にさらす。彼らは自分たちの「正義」に固執して、本当の意味で少数者の権利も多様性も認める気はない。
「小さな正義を振りかざし、他者を悪魔化する行為は、小さな全体主義の萌芽(ほうが)」「社会は『真理』ではなく、『意見』に基づいて構築されている。真理とは相反するように思われる常識こそが社会の要なのだ」といった、古典から栄養をたっぷりと吸収した政治哲学者らしい言葉が本書をいっそう魅力的にしている。(イースト・プレス・1500円+税)