副業が大して金にならずに終わる3つの理由――小遣い稼ぎで終わるか、ビジネスとして続けられるかの分岐点はどこに?

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photo by ra2 studio/Adobe Stock

働き方改革や「老人の長寿化にともなう年金不足」に関する報道もあり、副業奨励の風潮が本格的なものになってきました。「今だけでいいから数千~1・2万円程度の小遣いを稼ぎたい」と割り切るならともかく、「生活の足しにするため、継続的に稼げる柱を確立させたい」となると本腰を入れる必要があります。

そこで、コピープランナーの傍ら、作家や経営コンサルタントなどマルチに副業を展開している中山マコトさんの著書『副業で稼ぐ! と決めたら読む本』(以下、本書)の内容を交えつつ、「副業が大して金にならずに終わる3つの原因」を見てみましょう。

原因1:「好きだから」という勢いだけではじめた

「〇〇が好きだから、それでお金を稼ごう」、そう考える人はたくさんいます。始める動機の一つとしてはいいのですが、「それで継続的に稼げるか」という観点で考えたときはどうでしょうか。

中山さんはミステリー作家の森博嗣さんのエピソードを引き合いに、次のように語っています。

副業を選ぶにあたり、最も重要なことは、「自分自身が自然と努力できること、努力を継続できること」です。たとえば、僕が敬愛するミステリ作家の森博嗣先生は、そもそも、大学の先生をやりながら、「これでは奥さんやお子さんに生活面で苦しい思いをさせてしまう」と思い、「何か副業ができないだろうか?」と考えました。

(中略)

20年を超えて書きつづけることは、大変なことだし、数冊、いや1冊書いたっきりで消えていく作家もたくさんいる中で、次々と新たなシリーズを生み出し、エッセイ、日記でも新境地を切り開き、次々と作品を生み出せるのは、続けることができる対象だったからなのです。

森さんは、ハッキリと言います。「小説を書くことは決して好きではなかったし、今も好きではない。ただ仕事だから続けているのだ……」と。

この、仕事だから続けられるというのが実に重要なんです。好きである必要はないんです。

(本書P.23-25より)

そのうえで、「好き」だけを原動力にして始めると手を抜けないという思いがプレッシャーになることに加え、続けていくうちに「好き」の対象が変化したときは「稼ぎたいならビジネスに徹して続けなければならず、無理やりにでも好きなふりをしなければならなくなる」と解説しています。

そのうえで、感覚としては「気になる」を大事にした方がいい。気になるのは心のどこかで重要だと思っているからだ、と述べています

原因2:既存のシステムに乗っただけで、基盤が脆弱

一時の小遣いを稼ぐためと割り切るならともかく、継続的に稼いで収入を得る「ビジネス」として考えると、既存のしくみに乗っかっただけのものは長続きしないと中山さんは言います。

たとえば、SNSを集客の柱にするようなビジネスだと、SNSの仕様変更に振り回されます。昨日までOKだったことが、今日からできなくなることがあります。

記憶に新しいところでは、アメブロが「ペニーオークション騒ぎ」に懲りて、突然商用利用を禁止したことがありましたね。昨日までビジネスに使えていたブログが、突然ビジネス禁止になる。これ、いくら怒ろうと文句を言おうとダメなものはダメ。あくまでもシステムをつくり運用しているのはアメブロなので手も足も出ません。そんなことが起こるわけです。

そのあたり、要注意です。

(本書P.22より)

これ以外の例だと、YouTubeを運営するGoogleがある日突然「テキストが流れるだけの動画に収益化停止措置を実施」「普通の動画でも広告収益化の条件にチャンネル登録者数と総再生時間の条件が追加」といった変更を発表したことで、YouTuber界隈に動揺が広がったことがありました。


base photo by gustavofrazao/Adobe Stock

これらは所詮、一企業が提供しているシステムを使って稼いでいただけなので、運営規約の変更やサービス終了があれば一瞬にして稼ぐ手段が絶たれてしまいます。逆に言うと、継続的に稼ぐためには、企業が提供しているサービスだけに頼らずに、ビジネスの基盤を整える必要があるということになります。

原因3:流行りに乗っかるようにして始めた

言うまでもなく、流行り(別の言い方をすれば景気)に左右されるビジネスは長続きしません。

たとえば飲食で、ここ5・6年で一定のブームを巻き起こした食品・食材を簡単に振り返ると「メイソンジャーを使ったスムージーやサラダ」「アサイーボウル」「パクチー」などがあました。流行当時はそれらを売りにした専門店やメニューが多数ありましたが、今(19年6月時点)ではどのブームも去ったように思います。


ブームの去ったフードたち(photo by acworks&葉涙&ひかる3号/PhotoAC)

恐らく、いま第3次ブームとして約10年ぶりに話題となっているタピオカドリンクも、今年の年末か来年にはブームが去り、ショッピングモールや繁華街にあるタピオカスタンドは別の店に変化しているかもしれません。

短期で稼ぐだけ稼いで上手に撤退し、次の流行にうまく乗り換えられるビジネス手腕を持っているならともかく、「今流行りだから〇〇を使った副業をしよう」「△△を使った商売は景気がよさそうだ」という理由だけで始めた副業では継続的に稼ぐことはできません。中山氏は過去の経験をもとに次のように語っています。

いくら“今”が良いからと言って景気変動に影響を受けやすい業種のビジネスを主にすると、あとできつい思いをすることになります。

私の例で言えば、先ほどのような考え方(編注:景気に左右されない業種とだけ取引をする)でクライアントを選んでいったので、景気の変動が大きなときでもさほどの苦労をせずに済みました。

当時、不動産がブームで私の会社にも不動産のマーケティングやチラシの作成依頼はたくさん来ました。が、私たちは自らが掲げたスローガンにのっとり、絶対に不動産関係の仕事は受けませんでした。金額がいくら大きくても、おいしく見える仕事でも、絶対に受けませんでした。

当時、私の知り合いがやっていた会社は次々に売上高という不動産の軍門に下りました。そして結果、お金の回収がうまくいかず、倒産の憂き目にあった会社もたくさんありました。

要は生き方を間違えてしまったんですね。こうした、景気の変動に無力を決め込まず、キチンとそこを意識して組み立てておくと、しないで良い苦労をせずに済むのです。

(本書P.37-38より、一部編集のうえ抜粋)

 ***

以上、数ある「副業が大して金にならずに終わる原因」から3つを見てみました。では、継続的に収益を得られる副業を成功させるには、どのような条件が必要なのか。また、成功例としてどのような人がいるのかについては、中山氏の新刊にて詳しく解説しています。ぜひ、読んでみてください。

日本実業出版社
2019年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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