子どもを「いじめ」から守るには 家庭で早期に発見する方法【いじめ問題・対策】

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自分の子どもが学校でどんな生活をしているのか?(写真はイメージです)

 大阪府吹田市の市立小学校のいじめ問題が波紋を呼んでいる。女児は男児5人から暴力など継続的ないじめを受け、心因性の視力障害を負うまで両親にいじめのことを打ち明けられなかった。両親が発表したコメントによると、命の危険に晒さらされるほどの暴力を受けていたのに、家ではずっと笑顔で明るく振る舞っていたという。

 いじめ問題の抜本的な解決が必要なことはいうまでもないが、子育て世代にとっては、子どもとのコミュニケーションを心配するきっかけにもなっている。自分の子どもが学校でどんな生活をしているのか? 子育て世代で特に多いのが「学校であったことを子どもが話してくれない」という悩みだ。

「今日はどんなことをしたの?」「友達とは仲良くやってる?」など、子どもを心配して質問するが、聞きたい答えが返ってこなかったり、反応が薄かったりして対話にならないことが多いという。

 このように子どもとの対話に悩む子育て世代に向けて、保育士の小竹めぐみさんと小笠原舞さんの著作『いい親よりも大切なこと』(新潮社)から子どもと対話するための解決策を紹介する。

家で親自身が自分の話はしていますか?

 小竹めぐみさんと小笠原舞さんは、「学校でなにがあったか、うちの子が全然話してくれない」という悩みに、「自分の話はしていますか?」と聞き返しているという。すると、ほとんどの方が「え?」とびっくりした反応をする。

「子どもは、大人の鏡です。大人が日常的にしている行動こそ、子どもは真似するようになるのです。だから、自分が普段していないことを突然子どもに求めたって、それは難しいものです。でも、子どもに自分から話をしてほしい、というのであれば、まずは親である自分が日々起こった、何気ないことを話してみてください」

 子どもの最初のお手本は親だ。親の言動を真似して、自分の中に取り入れ、子どもは成長しているという基本的な考えに立ち返ることが対話の第一歩なのだ。

「『今朝は、パパが全然起きてくれなくて、本当に起こすの大変だったのよ』『今日ね、牛乳が飲みたくなって冷蔵庫をあけたら、賞味期限が切れていて、飲めなかったの』など、どんなことでもよいのです。自分にとって特別なことがなかった日のことを話すのは、なかなか難しいですが、本当にささいなことでも、くだらないことでも、『言葉のキャッチボールがある』ということが、大切なのです」

 さらに『いい親よりも大切なこと』では、幼児期の子どもにも今日の出来事を話すことを勧めている。

「私たちは、まだ言葉を話せない0・1・2歳児のママたちにも、『相手がまだ小さくて、理解できないだろうと思わずに、毎日寝る前に、今日あった何気ない出来事を話す習慣をつけてみてください』と伝えています。そうしておけば、言葉が話せるようになったとき、今日あった小さな出来事を、喜んで話してくれるようになります(もちろん子どもの性格にもよりますが)」

 学校であったことを話してくれない子どもに悩みを抱える親は、子どもの見本となるように自分から今日の出来事を話す時間を作ることで、自然と対話が生まれる家族になっていくのではないだろうか。

新潮社
2019年6月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「新潮」「芸術新潮」「週刊新潮」「ENGINE」「nicola」「月刊コミックバンチ」などの雑誌も手掛けている。

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