『食えなんだら食うな』関大徹著
[レビュアー] 産経新聞社
およそ40年前、75歳の曹洞宗大教師がしたためた自伝的人生論である。天衣無縫、裸足の禅僧として生きた著者の言葉を「時代錯誤」と感じる現代人も多いはずだ。そう感じて、これを排除する者は拝金主義、物質主義にまみれた薄っぺらな人生を送ればよい。
本書には、人が誠実に生をまっとうする極意が平易で率直な言葉でつづられている。「病いなんて死ねば治る」「自殺するなんて威張るな」「若者に未来などあるものか」「死ねなんだら死ぬな」…。一見過激な言葉の裏には、誠実な人生を生ききった禅僧の知恵が潜んでいる。待望の復刊だ。(ごま書房新社・1800円+税)