クリミア併合やシリア派兵など、軍事力を用いた対外介入が近年顕著なロシア。国際法を無視した露骨な侵略に批判が集まるが、背景にはロシアなりの論理が存在している。その特異な秩序観を、気鋭の軍事専門家が読み解く。
鍵になるのは、他国に依存せず意思決定、特に軍事的決定を下せる国のみが「主権国家」で、その国は周囲の中小国の主権を制限し得るというロシア独特の主権観。そこに旧ソ連の版図を「勢力圏」とみなす認識と、西側から包囲攻撃されているとする陰謀論的世界観がからむ。軍事大国ロシアの内在的論理がわかる最良の一冊。(東京堂出版・2400円+税)
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2019年6月30日 掲載
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