【気になる!】新書 『コケはなぜに美しい』
[レビュアー] 産経新聞社
最近はインテリアでも注目され、「コケガール」も登場するコケブームとか。本書はコケ生物学者の「コケ愛」に満ちた入門書だ。
著者はコケの「究極に洗練された単純な構造」「みずみずしく、透き通った色彩」などの美しさに加え、環境にあわせて変幻自在の生き方が魅力と強調。都市から深山まで環境ごとにその生態を紹介する。さらに国歌でも歌われ、コケを愛(め)でる日本文化、地球環境危機における役割など視点は多岐にわたり、「コケとの出逢いを」と背中を押す。
ユーモラスな筆致、カラー写真も豊富で、コケの世界に引き込まれる。(大石善隆著、NHK出版新書・1200円+税)