山田詠美が「大阪2児餓死事件」をもとに描いた小説が話題 誰が本当の『つみびと』なのか?[文芸書ベストセラー]

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 2月21日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『ノーサイド・ゲーム』が獲得した。
 第2位は『そして、バトンは渡された』。第3位は『百花』となった。

 4位以下で注目は10位に初登場の『つみびと』。作者は山田詠美さん。山田さんが現実の事件に着想を得た小説で、題材となったのはシングルマザーが幼い子ども二人をマンションに置き去りにし、ネグレクト死させたあの痛ましい事件。日経新聞に連載中から大きな話題となっていた。同作は亡くなった子どもたちの祖母の独白から始まり、事件の被告となった母親もまた育児放棄を受けた対象だったと描く。両親や継父から受けた虐待や周囲の男たちの無責任な態度など、彼女が追い込まれていった状況を重層的に描き、「本当に罪深いのは誰」と問いかける。

 文芸評論家の池上冬樹さんは《ヒューマニズムという言葉が嘘くさくなるほど赤裸々な人間の暗い衝動と欲望が描かれてあり、最後の最後に出てくる言葉(何であるか確かめてほしい)の何と皮肉なことか。一歩間違えば誰もが「つみびと」になる、いやすでになっている状況を鋭く抉(えぐ)りとり圧倒的だ》と解説し、《作者の新たな代表作だろう》と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/571747

1位『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤[著](ダイヤモンド社)

池井戸潤最新作! 2019年7月放映、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」(TBS日曜劇場)の原作。経営戦略室から左遷された男が挑む??。低迷ラグビー部を“経済的に”立て直せ!(ダイヤモンド社ウェブサイトより)

2位『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ[著](文藝春秋)

私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。(文藝春秋ウェブサイトより)

3位『百花』川村元気[著](文藝春秋)

「あなたは誰?」息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。ふたりには忘れることのできない”事件”があった――。現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』の著者、待望の最新刊!(文藝春秋ウェブサイトより)

4位『異世界はスマートフォンとともに。(17)』冬原パトラ[著](ホビージャパン)

5位『盾の勇者の成り上がり(22)』アネコユサギ[著](KADOKAWA)

6位『いずれ最強の錬金術師?(5)』小狐丸[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

7位『平場の月』朝倉かすみ[著](光文社)

8位『追い出された万能職に新しい人生が始まりました(2)』東堂大稀[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

9位『装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます(3)』tera[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

10位『つみびと』山田詠美[著](中央公論新社)

〈単行本 文芸書ランキング 2月21日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2019年7月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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