目標を達成できる人とできない人。一体何が違うのか――達成することが最終目的ではない

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(photo by metamorworks/Adobe Stock)

弁護士法人や税理士法人、コンサルティング会社の代表を務める弁護士の三谷淳さんは、多くの企業の事業発展や新規上場をサポートしてきました。そのなかで、「目標を達成できる人」と「できない人」との大きな違いを実感するようになったそうです。その違いと、達成している人の手法をまとめたのが『目標達成の全技術』です。

ここでは同書の第5章「一生使える『目標達成脳』の作り方」を中心に、高い目標を達成できる人の考え方や行動習慣を見ていきましょう。

目標達成のために大事なこと・大事じゃないこと

三谷さんのクライアントや勉強会仲間には、高い目標を次々と達成していく人がたくさんいます。一方で、高い目標を持てずにいる人、心が折れてあきらめてしまう人もいます。

三谷さんは彼らとともに仕事をしていくうちに、目標達成のために重要な要素と、一見重要に見えても実はあまり大切ではない要素があることに気づきました。

少し意外ですが、

「立案力=計画を立てる力」
「分析力=頭の良さ」

などは、それほど重要ではないとか。用意周到で状況分析力に長けていても、目標を達成できるとは限らないわけです。

一方、とくに重要な要素としてあげているのは、次の3つです。

「行動力=スピードや手数」
「公欲=人の役に立ちたいという心」
「向上心=成長したいという心」

これらが重要である理由を三谷さんは具体的に説明しています。

「行動力」──情熱は行動から生まれる

人間は感情の生き物です。心からやりたいと思うことや、情熱を持てることしかできません。情熱がある人は、例外なく行動にスピード感があります。一方、情熱がない人は次のような状態に陥ります。

・「企画書を出します」と宣言しながら、何日たっても提出がない
・「すぐに調べてお返事します」と言いながら全然返事が返ってこない
・ダイエットを始めるためにジムに入ると言いながら、すでに3か月たっている

では、どうやったら目標に対して情熱を持てるのでしょうか。

答えは「まず行動すること」です。なぜなら、人間の感情は理性に従うとは限りませんが、行動には必ず従うからです。

やりたくない仕事を頭(理性)でいくら「頑張ろう」と考えても情熱は湧いてきません。しかし、たとえ情熱がなくてもスピード感のある動きをすることはできます。最初はポーズでもよいので、情熱がある人と同じような行動をとっていれば、情熱は後から生まれてくるのです。

最初は面倒くさいなあと思っていたとしても、スピード感のある行動を続けているうちに、だんだんとまわりが喜んでくれたり、自分の成長を実感できたりして、情熱の炎が大きくなってくるのはよくあることです。

つまり、情熱は頭の中(理性)ではなく行動で作るものなのです。

自分はやり抜く力に自信がないとか、最近ちょっと情熱が冷めてしまっている気がすると思う人は、どうすれば情熱が湧いてくるのかを考えるのではなく、目の前の行動のスピードを上げる、すぐにやってみるということを試してみてください。

感覚的にはいままでの3倍のスピードで行動しているくらいでちょうどよいと思います。考える時間もないほどの速度で行動してみると、自然に情熱がついてくるのに気づくはずです。

(191ページ)

「公欲」──人の役に立ちたい本能

人の欲は「私欲」と「公欲」に分けることができます。どんな人でも、この2種類の欲を持っています。

「私欲」の代表的なものは食欲や性欲、物欲、金銭欲といったものですが、人間が動物である以上、これをゼロにはできません。私欲は動物の生存本能から生まれるものだからです。ただし、私欲は欠乏欲求とも呼ばれ、満たされたとたんに飽きがきてしまい、長続きしない性質を持っています。

一方で「公欲」というのは、他人や世の中の役に立ちたいといった種類の欲です。「部下に成長してもらいたい」「社員にたくさんボーナスを払いたい」「家族に楽しんでもらいたい」「病気の人を元気にしたい」。これらはすべて公欲です。

きれいごとだ、と感じる人もいるかもしれませんが、公欲も誰もが持っています。人間がこの地球上で生き延び食物連鎖の頂点に立つことができたのは、他の動物にはない「他の人と協力する」という能力がDNAにインプットされているからです。人の脳は、他人の役に立つことを喜び、快感を覚えるようにできているのです。

そして、公欲は私欲と違って、それが満たされてもすぐに新たな公欲が生まれるので、飽きることがありません。次々と新しい目標を生み出す公欲は、達成への大きな力となります。

私欲を減らして公欲を増やす方法も、情熱の作り方と同じです。頭で考えたこと(理性)が心の状態を作るのではなく、その人の行動が心の状態を作るので、まずは人のためになる行動をしてみればいいのです。その行動によってたくさんの人が喜ぶ経験を積んでいくことで、心の中に公欲を育てていくことができます。

「向上心」──成長と貢献

目標達成に慣れていない人と達成上手たちの「考え方の違い」について、三谷さんは4つのポイントをあげています。

・目標は「成長と貢献」のためにある

目標達成に慣れていない人は、目標を達成すること自体を目的にします。しかし、達成上手たちは、目標の設定と達成は仕事や人生を成功させるための手段にすぎないと考えています。彼らの目的は、目標達成によって「自分が成長し、誰かの役に立つため」なのです。

目標を達成することによって人は成長し自信をつけます。それは同時に、誰かの役に立っています。家族、職場の仲間、会社、お客様、世の中など、自分以外の誰かも喜んでいます。達成が誰かの役に立つという貢献の喜びが、さらに高い目標に挑戦する原動力となるのです。

・未達は恥ずかしいことではない

「目標達成できないと恥ずかしい」と感じる人もいます。しかし達成上手は、たとえ目標を達成できなくても恥ずかしいとは考えません。彼らは「行動は選べる、結果は選べない」ということを知っているので、思い通りの結果が出なかったとしても仕方がないと考えます。

たとえ数値目標に達しなかったとしても、精一杯やったのなら成長できているはずだし、少しでも誰かの役に立つことができていたら、チャレンジしたことに大きな意義があります。

もちろん、達成できなかったことは反省し、すぐに頭を切り換えて「次はどうやれば達成できるかな」と考えることは忘れません。

・達成はすごいことではない

逆に、仮に高い目標を達成しても、それがすごいことだとは考えていません。周囲は達成した成果だけを見て「すごい、すごい!」と称賛しますが、本人は達成までの道のりを逆算してアクションプランを決め、それを地道にやった結果だから、ちっともすごいと感じないのです。

・成長とはリスクをとること

達成上手たちは、とにかくすぐ行動したがります。「成功」の反対は「失敗」ではなく「行動しないこと」だとわかっていますから、たとえ行動することにリスクがあっても躊躇しません。

達成が苦手な人は安易に行動して失敗すると後悔するだろうと考え、よく考えてから行動しようとしますが、達成上手たちは、行動をすればその決断を後悔することはない、ということをよく知っているのです。

成功者と呼ばれる人たちは必ず多くの失敗を経験していますが、異口同音に「あれは成功するために必要な失敗だった」と言います。

船井総研の創業者である船井幸雄氏は、コンサルタントの第一人者として数万人のビジネスマンを観察し、「人はリスクをとって実際に行動し、責任をとることでしか成長しない」と気づいたそうです。

行動しないという選択をすることは「成功したくない自分」を表現すること。現状維持バイアスのせいで行動にはストレスを感じますが、行動すれば成長できて後悔しないのです。

(218ページ)

具体的な目標の立て方や、計画の作り方とアクションプランの進め方、うまくいかないときやスランプへの対処法など、『目標達成の全技術』には、こうした考え方だけではない具体的な方法が解説されています。

弁護士やコンサルタントとしての経験に裏打ちされた「目標達成の王道」を、ぜひ身につけてください。

日本実業出版社
2019年7月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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