戦前、新興俳句運動の中心として活躍し、戦後には現代俳句協会を創設した著者の自伝的作品2編。
第二次大戦下の神戸で、何を仕事にしているのかわからないような外国人や、バーのマダムらが住む「奇怪なる国際ホテル」が舞台の「神戸」と、その続編。
「神戸」では、1年半滞在した「私」が、エジプトのホラ男爵、掃除好きで模範的な台湾人、ロシア女を仲介役に身を売る美貌の元看護婦…住人らのエピソードを魅惑的に描く。解説で作家の森見登美彦氏は〈西東三鬼流の『千一夜物語』〉と評す。確かに、魔術に引き込まれるようだ。(西東三鬼著、新潮文庫・430円+税)
-
2019年7月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです