【話題の本】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

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 ■イカしたノンフィクション

 反骨精神いっぱいの母ちゃんと、エスカレーターに乗って平穏なエリート中学に進むのを拒み、地元の混沌(こんとん)とした中学に入学したクールな息子の日々の闘いと成長を描いたイカしたノンフィクションだ。

 高校卒業後、セックス・ピストルズに憧れ渡英した母ちゃんは、アイルランド人男性と出会い、結婚、英国南部のブライトンで保育士をしながら、英国社会を真っすぐなまなざしでみつめ、勢いのある文章でその状況をブログに書き続けてきた。

 人種差別、アイデンティティー、ジェンダー、経済格差などの問題に毎日のようにぶつかる息子は、母とともに生きていくうえで何が大切なのかを模索してゆく。本書のタイトルは、息子がノートの端に小さくつぶやくように書いた言葉だという。

 新潮社のPR誌「波」に連載中から社員の熱狂的な感想が寄せられ、現在も連載は継続中だ。刊行から1カ月で5刷3万6000部に達した。母の立場で読んだという同社宣伝部の和久田美希さんは「目からうろこが落ちました。人間が成長するとはどういうことか、改めて考えさせられました。子育て中の方や学校関係者にもぜひ読んでいただきたい」と語る。激しく同意する。(ブレイディみかこ著/新潮社・1350円+税)

 桑原聡

産経新聞
2019年8月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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