書評家たちが絶句する芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』とは[文芸書ベストセラー]

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 8月6日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『むらさきのスカートの女』が獲得した。
 第2位は『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』。第3位は『希望の糸』となった。

 1位と2位は第161回芥川賞と直木賞の受賞作。1位の『むらさきのスカートの女』は書評家たちから「摩訶不思議」「不穏な世界」と評される注目作。

 作家の大竹昭子さんは本作の異様な印象を《摩訶不思議な小説である。読み終えた途端に、自分は何を読んだのだろうと問わずにいられない。蜃気楼が現れてすぐに消えてしまったような感覚だ。ファンタジー小説ならそういうこともあろうが、これはジャンル小説ではないし、非現実的なことが起きますよという先触れめいたものもない。にもかかわらず、足下が危ない気配が最後まで途切れないのである。》と述べる。しかし書評の最後では《そこに滲みだす懸命で切実な空気が来るべき時代を予感させる。》と高く評価。
https://www.bookbang.jp/review/article/577795

 書評家・評論家の藤田香織さんは《今村夏子の小説は読者に緊張を強いる。(中略)連れていかれる。放り出される。読了した次の瞬間には現実に戻れる物語とは異なり、本を閉じても胸のなかに残り続ける。いや、その小説のなかに置いていかれた心地になる。実に疎ましく厄介だ。にもかかわらず、構えながらも、また触れたいと乞うてしまうのは、そこが唯一無二の世界だからだ。》と読む前から心してかかるべき作品だと警告。それでいて《予想もつかぬ展開となる後半、読者もまた自分が見ているものが分からなくなる。(中略)恐ろしく、切実なのに可笑(おか)しく、痛みを伴う平易な言葉で綴(つづ)られた百六十ページ弱の中編である。読むのは決して難しくない。こんな世界があったのかと、震えながら立ち尽くしてほしい。》と積極的に読者を不穏な読書体験へといざなっている。
https://www.bookbang.jp/review/article/575047

1位『むらさきのスカートの女』今村夏子[著](朝日新聞出版)

近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない<わたし>は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』『星の子』が芥川賞候補となった話題の著者による待望の最新作。(朝日新聞出版ウェブサイトより)

2位『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』大島真寿美[著](文藝春秋)

虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた── 「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作! 江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。 筆の先から墨がしたたる。やがて、わしが文字になって溶けていく──(文藝春秋ウェブサイトより抜粋)

3位『希望の糸』東野圭吾[著](講談社)

東野圭吾の最新長編書き下ろしは、「家族」の物語。「死んだ人のことなんか知らない。あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。(講談社ウェブサイトより)

4位『夏の騎士』百田尚樹[著](新潮社)

5位『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤[著](ダイヤモンド社)

6位『てんげんつう』畠中恵[著](新潮社)

7位『いけない』道尾秀介[著](文藝春秋)

8位『ヴェールドマン仮説』西尾維新[著](講談社)

9位『チンギス紀(5)絶影』北方謙三[著](集英社)

10位『三体』劉慈欣[著]立原透耶[監修]大森望、光吉さくら、ワン チャイ[訳](早川書房)

〈単行本 文芸書ランキング 8月6日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2019年8月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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