【話題の本】『一生食べたいカツ代流レシピ』小林カツ代、本田明子著

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■カリスマの遺志継ぐ定番料理

 平成26年に76歳で亡くなった「家庭料理のカリスマ」小林カツ代さん。その一番弟子の料理研究家、本田明子さんが、不滅の人気レシピをシニア向けに進化させた本書。67歳のとき、くも膜下出血で倒れたカツ代さんが、その3週間前、本田さんに食べるとむせるようになったことを打ち明け、80歳になっても食べやすいレシピを考えたいと話していたという。

 師の遺志を継いだレシピは、肉じゃがや生姜焼き、煮込みハンバーグなどの定番料理に加え、ゆでてタレに漬け込むだけの「とん野菜」、手間いらずの「楽々シチュー」など、「簡単・おいしい・経済的」な料理が勢ぞろい。また、1週間で食材を使い回すアイデアや、介護に役立つおかゆの作り方なども紹介。文芸春秋ノンフィクション編集局の藤田淑子さんは「シニア世代はもちろん、子育て中の主婦や料理初心者の若者にも役立ててほしい」。

 本田さんは、カツ代さんが倒れてから亡くなるまでの9年間、口から食ベられない生活をしていたことも明かしている。自分のため、みんなのために、いくつになってもおいしく食べられる料理を考え続けていたカツ代さんだけに、なんともせつない。(文芸春秋・1000円+税)

 平沢裕子

産経新聞
2019年8月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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