第67回日本エッセイスト・クラブ賞が決定 『線量計と奥の細道』と『死を生きた人びと』の2作品が受賞

文学賞・賞

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 第67回日本エッセイスト・クラブ賞が28日に発表。ドリアン助川さんの『線量計と奥の細道』(幻戯書房)と、医師の小堀鴎一郎さんの『死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者』(みすず書房)に決まった。

『線量計と奥の細道』は、東日本大震災後、被災地と重なる松尾芭蕉の「奥の細道」を自転車で辿った日々を綴ったエッセイ作品。線量計を携え、一都一四県、約2000キロに及んだ旅の過程で、被災地の暮らしや人々の惑いと葛藤を目の当たりにした著者が辿り着いた答えとは?

 詩人の岡本啓さんは、本作について「自然の力にむきだしの自転車の漕ぎすすむのは、観光の宣伝広告用に美化された風景ではない。着飾らない生身の日本のすがたがこの一冊にはあらわれている」(中日新聞社・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/557660

 著者のドリアン助川さんは、1962年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒業後、放送作家などを経て、1990年「叫ぶ詩人の会」を結成。テレビ番組やラジオ深夜放送のパーソナリティなどで人気を博す。2015年に発表した小説『あん』は映画化され、世界の十二言語に翻訳、2017年にフランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞」を受賞する。著書に『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』『多摩川物語』『ピンザの島』などがある。

『死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者』は、これまでに355人の看取りに関わった訪問診療医が語る、患者たちのさまざまな死の記録。現代日本では患者の望む最期を実現することは非常に難しい現状を取り上げながら、終末医療のあるべき姿を模索した労作。

 著者の小堀さんは、1938年東京都生まれ。随筆家・小堀杏奴を母に持ち、森鴎外が祖父にあたる外科医。東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院第一外科や国立国際医療研究センターに約40年間勤務する。定年退職後は、埼玉県新座市の堀ノ内病院に赴任し、在宅診療に携わり、355人の看取りにかかわる。

 贈呈式は、6月21日に東京都千代田区の日本記者クラブで行われ、受賞者には30万円の賞金が贈られる。

 日本エッセイスト・クラブ賞は、1952年に制定されたエッセイについての賞。文藝作品等創作を除く一切の評論、随筆(一定期間内に発表されたもの)等の中より、各関係方面の推薦を受け、日本エッセイスト・クラブに設けられた選考委員によって選考され、最優秀と認められたもの一篇にたいし記念品及び賞金を授与する。

Book Bang編集部
2019年5月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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