『長寿と画家 巨匠たちが晩年に描いたものとは?』河原啓子著
[レビュアー] 産経新聞社
画家は長命のイメージが強い。ピカソは91歳、シャガールは97歳まで生き、北斎も江戸後期には珍しく89歳の天寿を全うした。描くことが健康的というより、画家は長く仕事をし続けられるため長寿が目立つ、ということらしい。
80歳頃に自画像「おれはまだ学ぶぞ」を描き、エネルギッシュに人間の真実を見つめようとしたゴヤ。熊谷守一は90歳を超えて「石ころ一つとでも十分暮らせます」と語り、身近な自然を慈しみながら静かに暮らした。本書は長寿の画家15人が老境において何を描き、どう画業と向き合ったのかを紹介している。あすは敬老の日。(フィルムアート社・1800円+税)