第66回産経児童出版文化賞受賞作7点が決定 大賞は豊田直巳さん『それでも「ふるさと」(全3巻)』

文学賞・賞

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 第66回産経児童出版文化賞の受賞作7点が5日に発表され、大賞に豊田直巳さんの『それでも「ふるさと」(全3巻)』(農山漁村文化協会)が選ばれた。

 大賞に選ばれた『それでも「ふるさと」』は、東日本大震災の福島第1原発事故で一時全村避難となった福島県飯舘村に震災直後から現地入りし、その後も同村に通い続けている豊田さんが、避難指示解除までの約6年を記録した写真絵本の3部作。豊田さんは大賞受賞について、「受賞は思ってもいなかったので、ありがたいことです。カメラの前に立ってくれた人への恩返しになれば」とコメントを寄せた。

 著者の豊田直巳さんは、1956年静岡県生まれ。フォトジャーナリストとして長年にわたり、イラクやパレスチナなどの紛争地で取材を続けるとともに、アジア各地の内紛・内戦などの「見えない戦争」を取材。新聞や週刊誌、写真展や講演で報告し、テレビの報道番組でも報じてきた。また、児童労働や貧困問題など制度的な差別構造などの社会問題をテーマとした活動も行っている。

 産経児童出版文化賞は、学校図書法の施行にあわせて1954年に産経新聞社が創設した児童文学の賞の一つ。同社主催のもと、次世代を担う子供たちに優れた本を与える目的で制定された。前年の1月1日から12月31日までの1年間に日本国内で出版された、すべての児童書籍を対象に審査を行い、毎年5月5日の「こどもの日」に受賞作が発表される。大賞のほかにJR賞、美術賞などがあり第66回の受賞作は以下の通りとなった。

■大賞
『それでも「ふるさと」(全3巻)』豊田直巳[写真・文]農山漁村文化協会
■JR賞
『しあわせの牛乳』佐藤慧[著]安田菜津紀[写真]ポプラ社
■美術賞
『バッタロボットのぼうけん』まつおかたつひで[作]ポプラ社
■産経新聞社賞
『ひだまり』林木林[文]岡田千晶[絵]光村教育図書
■フジテレビ賞
『たまねぎとはちみつ』瀧羽麻子[作]偕成社
■ニッポン放送賞
『空の探検記』武田康男[写真・文]岩崎書店
■翻訳作品賞
『ショッキングピンク・ショック!』キョウ・マクレア[文]ジュリー・モースタッド[絵]八木恭子[訳]フレーベル館
『カタカタカタ おばあちゃんのたからもの』リン・シャオペイ[作]宝迫典子[訳]ほるぷ出版

Book Bang編集部
2019年5月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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