第10回翻訳ミステリー大賞が発表 アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』が受賞

文学賞・賞

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 第10回翻訳ミステリー大賞が15日に発表され、アンソニー・ホロヴィッツさんの『カササギ殺人事件(上・下)』(東京創元社)に決まった。

 受賞作『カササギ殺人事件』は、2018年に発表された年末ミステリランキングを全て制覇した長編ミステリ。本作は女性編集者が読む作中作のミステリ小説『カササギ殺人事件』の中で展開される名探偵アティカス・ピュントの推理が描かれるが、女性編集者は“ある事態”をきっかけに現実の世界で自ら謎を解き明かそうと推理を繰り広げることになる。アガサ・クリスティへのオマージュ作品でもある本作では、クラシカルな犯人捜しを味わうことができる上に、練り上げられたストーリー展開と張り巡らされた伏線、そして驚きの仕掛けによって、これまでにない挑戦的な作品となっている。

 著者のアンソニー・ホロヴィッツさんは、1955年英国ロンドン生まれ。ヤングアダルト作品『女王陛下の少年スパイ! アレックス』シリーズがベストセラーになったほか、人気テレビドラマ「名探偵ポワロ」や「バーナビー警部」などの脚本を手掛ける。2014年にはイアン・フレミング財団に依頼されたジェームズ・ボンドシリーズの新作『007 逆襲のトリガー』を執筆している。

 また、プロアマ問わず全ての読者がメール・Twitterの投票した結果によって決定する読者賞も『カササギ殺人事件』が選ばれた。

 翻訳ミステリー大賞は、日本語に翻訳された海外の推理小説を対象とした文学賞。前年11月1日から、その年の10月31日までに刊行された作品の中から現役の翻訳者の投票によって決定する。

 昨年は、R・D・ウィングフィールドさんの『フロスト始末』が受賞。過去にはドン・ウィンズロウさんの『犬の力』(第1回)、スティーヴン・キングさんの『11/22/63』(第5回)などが受賞している。

 第10回の候補作品は以下の通り。

『あなたを愛してから』デニス・ルヘイ[著]加賀山卓朗[訳]早川書房
『そしてミランダを殺す』ピーター・スワンソン[著]務台夏子[訳]東京創元社
『用心棒』デイヴィッド・ゴードン[著]青木千鶴[訳]早川書房
『IQ』ジョー・イデ(英語版)[著]熊谷千寿[訳]早川書房
『カササギ殺人事件(上・下)』アンソニー・ホロヴィッツ[著]山田蘭[訳]東京創元社

Book Bang編集部
2019年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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